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企業は、労働組合との間でユニオンショップ協定を締結している、あるいは労働組合から締結することを求められることがあります。
本ページでは、弁護士が「ユニオンショップ協定」を解説いたします。
目次
ユニオンショップとは、使用者に採用された後労働組合に加入しない者、労働組合から脱退しもしくは除名された者の解雇を使用者に義務づけるものである。いわゆる大企業の労働組合は企業と締結していることが多く、労働組合はユニオンショップ協定を結ぶことで企業内の組織率を高めることができる。
ユニオンショップは、労働組合の組織率を高めることには効果的な一方、従業員が労働組合に加入したくない場合も従業員に労働組合に加入することを事実上強制することになる。また、従業員が労働組合を脱退したり除名された場合は解雇されることとなり、従業員に重大な不利益を及ぼすこととなる。このため、果たしてユニオンショップ協定は有効か無効か学者の中でも説が分かれている。(本稿では、学説を紹介することは割愛する)。
では、使用者はユニオンショップ協定を結ぶ義務はあるのだろうか? 当然のことながら使用者はユニオンショップ協定を結ぶ義務はない。使用者は、労働者の過半数で組織された過半数労働組合の場合はユニオンショップ協定を結ばなければならない、などということもない(たまにそのような質問を受ける)。したがって、使用者が労働組合からユニオンショップ協定を結ぶことを求められ、それを拒否したとしても、特に問題はない。
もっとも、使用者にとって、労働組合とユニオンショップ協定を結ぶことにはメリットもある。労働組合の組織率が高まれば、36協定の締結、人事制度の改定などはすべて労働組合を通して協議し解決していくことができるので、。従業員個人から同意をもらったり、説明を行ったりする必要がなくなる。
以上の点をふまえて、使用者は労働組合とユニオンショップ協定を結ぶか否かを判断することになる。
ユニオンショップとは、上記のとおり、使用者に採用された後労働組合に加入しない者、労働組合から脱退しもしくは除名された者の解雇を使用者に義務づけるものである。もっとも、ユニオンショップ協定の中には、使用者がユニオンショップ協定にもとづいて解雇するか否か決定権を有するものがあったり、様々なものがある。
【文例1】
「会社は、労働組合より除名された者、労働組合に加入しない者、労働組合から脱退した者を1ヶ月以内に解雇しなければならない。」
※これは労働組合に加入しない者、脱退した者、除名された者全てを使用者が解雇しなければならないと定めた例。
【文例2】
「会社は、従業員であって労働組合より除名された者は解雇する」
※これは、労働組合に加入しない者、脱退者については解雇義務を定めず、労働組合から除名された者のみを解雇義務の対象とする例。
【文例3】
「会社は、労働組合より除名された者、労働組合に加入しない者、労働組合から脱退した者を原則として解雇する。ただし、解雇について異議がある場合は、会社と労働組合は協議して決定する。」
※これは、使用者が必ず労働組合に加入しない者、脱退した者、除名された者を解雇すると定めず、原則として解雇すると定め、使用者に裁量をもたせた例。尻抜けユニオンという。
【文例4】
「会社の従業員はすべてA労働組合の組合員でなければならない」
※これは、従業員の労働組合加入義務を定めるものの、解雇義務を敢えて規定しない例。宣言ユニオンという。
ユニオンショップ協定にもとづく解雇は、当然のことながら従業員の退職という重大な効果をもたらす。そのため、日本では、結論の妥当性を確保するために、使用者がユニオンショップ協定にもとづく解雇を行わない余地を残す場合が多く見られる。
使用者は、労働組合とユニオンショップ協定を結ぶとしても、会社と労働組合の関係、会社の社風、会社の規模を考慮して、上記文例1から4のようにユニオンショップ協定の文言については慎重に検討する必要がある。
それでは、使用者が労働組合と、労働組合を脱退した者を全て解雇するとのユニオンショップ協定を結んだとして、労働組合員が脱退後他の労働組合に加入した場合もユニオンショップ協定にもとづく解雇は有効なのだろうか。
三井倉庫港運事件判決(最高裁平成元年12月14日判決)は、会社と労働組合がユニオンショップ協定を結んでいたにもかかわらず、労働組合を脱退し、その直後他の労働組合に加入した従業員を、その後会社がユニオンショップ協定にもとづいて解雇した事案について、以下のように述べている。
「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、右の観点からして、民法90条の規定により、これを無効と解すべきである(憲法28条参照)。そうすると、使用者が、ユニオン・ショップ協定に基づき、このような労働者に対してした解雇は、同協定に基づく解雇義務が生じていないのにされたものであるから、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することはできず、他の解雇の合理性を裏付ける特段の事由がない限り、解雇権の濫用として無効であるといわざるを得ない。」
つまり、上記判例は、ユニオンショップ協定は、従業員の他の労働組合を選択する自由を制約するものであるから、従業員がユニオンショップ協定を結んでいる労働組合を脱退して、他の労働組合に加入した場合は、たとえユニオンショップ協定に定めがあっても解雇をすることは許されないと判断しているのである。したがって、ユニオンショップ協定を結んでいても、従業員が労働組合を脱退して他の労働組合に加入した場合は、解雇することはできない。
また、社内に複数の労働組合があり、そのうちの一つが会社とユニオンショップ協定を結んでいるが、従業員がユニオンショップ協定を締結していない労働組合に加入した場合も、解雇することはできない。従業員の労働組合を選択する自由を保障する必要があるからである。
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この記事の監修者:杜若経営法律事務所編集部
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