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目次
昨今「問題社員」や「モンスター従業員」というフレーズをよく耳にするように、勤務態度や業務遂行能力に問題がある社員について取り沙汰されることが増えてきました。
このような社員について「問題社員がいて非常に困っています。
今すぐにでも解雇したいです!どうにかならないですか!?」とのご相談をいただくことも多々ありますが、(よほど悪質な場合でないかぎり)「今すぐに解雇しましょう!」と回答することはほとんどありません。
いくら勤務態度や業務遂行能力に問題があるからといって、いきなり解雇に踏み切ることは、リスクが非常に高く良い対応であるとは言えません。
ご存知のとおり、日本における解雇規制は非常に厳しいため、語弊を恐れずに言えば段階を踏まずに行った解雇はほとんどの場合無効になると言っても差し支えないくらいです。
したがって、問題社員がいた場合、会社としては、まず適切な注意指導を行うなど当該問題社員の抱えている問題を解決する努力をすることが必要になります(この注意指導を繰り返し行い、それでも改善の余地が見えない場合になって初めて解雇の検討をすることになります)。
しかし、注意指導を聞こうとしなかったり会社の担当者に反抗的な態度を示したりなど、問題社員に対する注意指導は一筋縄ではいかないことが多く、どうしたものかと頭を抱えている人事担当者の方々も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな問題社員対応に頭を抱えている人事担当者の方々に向けて、問題社員の指導方法を中心に解説をし、注意指導に効果が見られなかった場合の対処方法についても解説をしようと思います。
そもそも一口に「問題社員」「モンスター従業員」といっても、具体的にどのような社員・従業員のことをこのように表現しているのでしょうか。
本段落では、問題社員の概要について解説します。
問題社員とは、一般に勤務態度や言動に問題がある社員をいいます。
例えば、無断欠勤や遅刻早退を繰り返す、頻繁に仕事をサボる、他の社員とすぐにトラブルを起こす、パワハラセクハラの傾向があるといったような社員のことを「問題社員」「モンスター従業員」と表現することが多いです。
また、本人に悪気はなくただ能力が低かったり、メンタルに不調を抱えていたりする社員についてもその程度によっては「問題社員」に含まれる場合もあります。
簡単に類型化すると以下のパターンに分けられます。
問題社員はその対応に苦慮するためか、放置してしまっている担当者も時折見かけます。
たしかに、少しでも注意指導をすれば反抗してきたりなど非常に扱いにくい問題社員がいることも事実で、見て見ぬふりをしたり放置したくなる心情も非常によくわかります。
しかし、問題社員をそのままにしておくと、真面目に働いている社員のモチベーションを下げたり、仕事の負荷を増やしたり、挙げ句の果てには真面目に働いていた社員すらモンスター従業員化させてしまったり、といったリスクがあります。
これまでに、問題社員を放置していたために、優秀な社員が離職してしまったという非常に悲しいケースもありました。
このように、問題社員を放置すると会社全体が崩壊し始めるといっても過言ではなく、問題社員を発見した場合には、早急に対応をする必要があります。
問題社員を指導する際には、のちのちのトラブル防止や効果確認のため、できるだけ記録を残すことが重要になります。
また、担当者の負担軽減のため複数人体制で指導にあたることも大切でしょう。
本段落では、問題社員の指導方法について解説します。
日々のご相談を受けていると、口頭“のみ”で問題社員への注意指導を行っている事案も少なくないように感じます。
口頭の注意だけでは、指導内容に齟齬が起きやすく、後から見返した際記録に残らないというデメリットがあります。
また、万が一紛争に発展した場合「これまでにたくさんの注意指導を繰り返してきた事実」は会社側で主張立証しなくてはなりません。
口頭での注意指導しかしてきていない場合、証拠が残っておらず客観的証拠によって「注意指導してきた事実」を主張立証することが難しくなってしまうこともあります。
せっかく労力を割いて注意指導を繰り返してきたのに「言った。言わない。」の議論に持ち込まれ「注意指導してきた事実」の証明ができなくなってしまうのは非常にもったいないです。
「注意書」や「指導書」などの書面を作成すれば、指導内容を記録として残すことができるうえ、問題社員側としても口頭だけで注意指導されるより重大なものとして捉えやすくなり注意指導の効果も高まるので、書面で記録を残す癖をつけることが重要です。
これらの書面を作成するにあたっては、会社が問題視している対象社員の行動を詳細に記載するとともに会社が求める具体的な改善内容も併せて提示することが重要になります。
また、「注意書」や「指導書」の交付が遅くなると「その期間会社が当該問題行動を黙認していた」と誤解されるリスクもあるので、問題行動があったら即座にこれらの書面を作成し対象社員に交付するのが理想的であると言えます。
(1)のように都度「注意書」や「指導書」を交付することも効果的ですが、問題社員に対して日常業務の一環として毎日「業務日報」や「チェックリスト」を作らせることも非常に効果的な指導方法の一つです。
問題社員は、得てして「会社が居心地の良い場所だ」と思っていたり「自分は仕事ができる」と思い込んでいたりする傾向にあります。
そこで、業務日報やチェックリストによって自身を客観視させ、自分から行動を改めさせることに狙いがあります。
・業務日報の作成
業務日報には、対象社員がその日取り組んだ業務内容や成果のほか、担当者からのフィードバックや指導などを記載することになります。
なので、対象社員に交付する業務日報には、業務日報を確認する担当者がコメントを記載する欄も用意しておく必要があります。
例えば、業務日報には以下のような情報を記載することになります。
業務日報のポイントは、対象社員に④のコメントを日々確認してもらい、自身の勤務態度や業務遂行能力について「どこをどう改善すれば良いのか」を考えさせるようにすることです。
・チェックリストの作成
また、仕事で同じ失敗を繰り返すタイプの問題社員に対しては「チェックリスト」を作成させることも効果的です。
チェックリストを問題社員自身に作らせることで、業務内容や指導内容をどの程度理解しているかを把握することもできます。
「注意書」「指導書」による注意指導ないし「業務日報」による指導と並行して、対象社員との面談も定期的に行うことが望ましいです。
面談の頻度については、2週間に1回程度、少なくとも1月に1回程度は実施すべきでしょう。
面談は、前回の面談から今回の面談までの間にやりとりをした指導記録や業務日報等の内容をもとに指導の効果を確認するために行います。
したがって、面談ではまず本人が感じている課題を質問し、会社の認識している対象社員の課題と一致しているか確認をします。
そのうえで、もし認識にずれがある場合にはその修正を行い、認識が一致している場合でもさらなる改善点を伝えることになります。
また、この面談についてもやりとりの内容や会社から伝えた事項は、必ず議事録等の記録を残しておくべきです。
記録化するという観点からは、面談終了後、簡単な議事録を本人にメール送信することも効果的でしょう。
なお、対象の問題社員が面談内容をスマホで録音し、あとから「暴言を受けた。」「ハラスメントだ。」といった主張をしてくる事態も時折見かけます。
このような事態が起こらないよう怒鳴ったりしないよう心がけるのはもとより、相手が問題社員だからといって面談で過度に怒るのは控えるようにし、冷静な言葉使いをするよう心がける必要があります。
これまでに解説してきたように問題社員の対応を任される担当者にはとても大きな負担がかかります。
一人の担当者に問題社員対応を任せっきりにしてしまうと、かえって当該担当者の疲弊につながりかねません。
したがって、問題社員対応は、特定の担当者一人に任せるのではなく複数人のチームを組んで対応することが望ましいです。
たとえば、対象の問題社員の上司を「責任者」とし問題社員の職場にいる先輩を「指導担当者」とするなどし、上司は日報のチェックや面談を行う役目を、先輩は職場での直接的な注意や指導を担うとするように役割分担をすることも考えられます。
問題社員が何らかの問題行動を起こした際には、その場ですぐに指摘・指導を行うことができる体制を整えておくことが重要であり、問題を見逃さないという意味でも複数人体制が望ましいといえます。
このように、問題社員対応には、対象社員に臆することなく注意を行える胆力や粘り強く指導を続けることができる根気が必要になります。
「責任者」や「指導担当者」の選任にあたっては、そのような適性があるのか注意深くチェックすることも重要です。
問題社員に注意指導を行うときには「客観的な事実」を摘示するよう意識することが重要です。
たとえば「協調性が足りない」「他人に対する態度が良くない」といったような指摘は、「足りない」「良くない」のように担当者の主観が含まれており、とても曖昧な表現となっています。
このような表現では、具体的にどのような行為を問題視していて、具体的にどのように改善する必要があるのか全く伝わらず、会社と対象社員との間で認識に齟齬が生まれかねないばかりか、問題社員が「パワハラだ!」「ただの人格否定だ!!」と逆上する恐れもあります。
「いつ」「どこで」「誰が」「どのようなことをしたのか」など、5W1Hを明確にするよう注意しながら「具体的にどのような言動がよくなかったのか」について指導を行う必要があります。
会社や対象社員に対する思い入れが強い担当者の方ほど、どうしても感情的になってしまいがちですが、対象社員に対する指導においては極力感情的な内容を省き、改善方法を端的かつ具体的に記載するように心がける必要があります。
上記のように会社側として適切な注意指導等を行ったとしても、必ずしも問題社員の行動が改善されるとは限りません。
このような場合には、当該問題社員に対する懲戒処分や解雇等の実施も選択肢に入ってきます。
この段落では、いくら注意指導を行っても効果がない場合の対処法について解説します。
いくら注意指導を繰り返しても、任されている仕事ができるようにならなかったり、対人関係が上手くいくようにならなかったりなど、現状に変化が見られないこともあります。
このような場合、部署異動など配置転換を行って対象の問題社員が置かれている状況を変えることで問題が解決する可能性もあります。
また、対象の問題社員が管理職等についているのであれば、当該社員の能力に見合ったポジションまで降格させることも考えられます。
ただし、安易に配置転換や降格を行ってしまうと「部署異動には応じられない」など具体的な紛争へのトリガーにもなりかねず、一度紛争化してしまえば会社担当者の負担が増大してしまう事態にもつながりかねません。
したがって、配置転換や降格を行う場合、上述の面談等で問題社員とよく話合っておくなど、事前に問題社員とそれぞれの考え方のすり合わせを行なっておくことが重要でしょう。
また、万が一紛争化してしまった場合に備え、配置転換や降格に至った具体的理由(能力不足や規律違反)に関する証拠をしっかりと残しておくことも重要です。
たとえば無断欠勤が長期間続いていたりハラスメントを繰り返していたりなど、たび重なる注意指導にも関わらず問題行動に改善が見られないような場合、注意指導だけではなく懲戒処分の実施を検討する必要もあります。
一般的に懲戒処分には「戒告」や「減給」「出勤停止」のほか「諭旨解雇」や「懲戒解雇」などの処分が定められていることが多いかと思いますが、これらの処分のうちいずれの処分を下すのが適切であるのかについては問題行動の内容や程度のほか何度目の処分なのか等の事情を総合的に検討のうえ決定する必要があります。
その際、「何度目の処分なのか」が考慮要素に含まれていることからもわかるように、これまで一度も懲戒処分を受けたことがない社員に対していきなり懲戒解雇などの重たい処分を下してしまうと、対象となった社員が当該処分の有効性を争った場合に無効であると判断されるリスクが高くなります。
したがって、よほどの事情がない限り、まずは「減給」や数日程度の「出勤停止」から始めるのが基本的な対応方針となります。
なお、懲戒処分を下すためには、処分の該当事由と処分の内容が就業規則であらかじめ定められている必要があります。
また、これらの事項が定められた就業規則が社員に対して周知されている必要もあります。
いざ問題社員に懲戒処分を下そうとしたタイミングになって就業規則の規定が不十分であったために懲戒処分に踏み切れないなどといった事態にならないよう就業規則の規定ぶりについて確認しておくべきだと言えるでしょう。
上記のような懲戒処分を行なってもなお、問題行動が改善されない場合、いよいよ当該問題社員の解雇を検討することになります。
もっとも、いきなり「あなたを解雇します。」と伝えてしまうと、紛争に発展する可能性が高くなります。
そこで、まずは面談の機会を設けて退職勧奨を行い、自主的に退職してもらえるよう交渉を行うことがおすすめです。
なお、ただ単に「退職していただきたい」とお伝えするだけで功を奏すことはほぼあり得ません。
たとえば、退職金の割り増しや特別手当など辞めた場合の条件を提示するなど退職勧奨に応じた場合のメリットも示しながら交渉するとスムーズに進むこともあります。
なお、退職勧奨とは、あくまでも双方の合意によって成立するものなので、執拗に退職を迫ったり、不当な圧力をかけたりしないよう注意してください。
仮に、このような圧力によって対象社員が退職届を提出してきたとしても、後々当該退職の有効性を争われるリスクを負うことになります。
退職勧奨を行なっても双方合意に至らなかった段階になっていよいよ対象社員の解雇を検討することになります。
しかし、これまでの対応が不十分な状態で「解雇」を行なってしまうと、解雇無効を争って解雇してから復職までの賃金(いわゆるバックペイ)の支払いを求める書面が届いたり労働審判の申立てや訴訟の提起をされたりすることもあり得ます。
したがって、問題社員対応の際には、資料を残しつつ慎重に対応する必要があります。
以上のとおり、問題社員の対応をする際には、会社側として適切な注意指導を行っていたという証拠を残していくことが大切になります。
このような証拠さえあれば、双方合意の上での退職が実現できなかったとしても最終的に普通解雇や懲戒解雇へ持っていける可能性が高くなるうえ、万が一訴えられたとしても裁判で有利に戦う事もできます。
もし、問題社員の対応で困ったことがあれば「杜若経営事務所」にご連絡ください。
使用者側の労務トラブルに取り組んで40年以上。700社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。
労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題従業員社員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。
まずはお気軽にお電話やメールでご相談ください。
労務問題に精通した弁護士が問題社員への対応方法をレクチャーするのはもちろん、トラブルになりがちな懲戒処分や退職勧奨などの事案でもしっかり対応させていただきます。
【回答】 解雇が無効であることを前提とした判断が下されると、対象の社員が職場に復帰してくるだけでなく、対象の社員が働いていなかった期間について賃金の支払いが命じられる場合もあります。
また、これらの法的義務だけでなく、判決が公にされることで「◯◯会社は、不当解雇をするような会社なんだ」と世間に評価されてしまう可能性もあります。
そのうえ、各手続きに関する解説は割愛しますが、仮に労働審判が提起されたのち通常訴訟で判決まで至った場合を想定すると、労働審判の提起から通常訴訟の判決まで1年から2年場合によってはそれ以上の期間がかかることもあります。
このように解雇無効と判断された場合、対象の社員が会社に復帰してきたり、解雇(したと思っていた)期間の賃金の支払いが必要になったりなど法的に非常に重い責任がかされるだけでなく、会社の名が世間に知られてしまうなど事実上も大きな打撃を受けることになりかねません。
したがって、もし対象社員の解雇に踏み切るとしても慎重に対応をする必要があり、(態様が非常に悪質なハラスメントや非違行為の場合を除いて)いきなり解雇に踏み切るのは得策とは言えないでしょう。
【回答】 まずは対象の社員から具体的に誰のどのような行為が「パワハラ」に当たると考えているのか、5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、どうして、どのように)を意識しながら詳しく事情を聞きとる必要があります。
そのうえで、対象の社員が「パワハラ」と考えている行為が法的に見てハラスメントに該当するのかどうか検討する必要があります。
そして、当該行為が法的に「ハラスメント」と評価できないのであれば、その旨をきちんと説明し担当者による注意指導の趣旨や改善を求めているポイントについて理解が得られるよう説明を行いましょう。
それでもなお、対象の社員が出社してこないのであれば、当該事実に対しても注意指導を行いつつ、出勤命令を行う必要があります(当該出勤命令にも従わないようであれば、そのこと自体も別途問懲戒事由等に該当する場合もあります)。
なお、対象の社員がメンタル不調等を訴えている場合には、診断書の提出や主治医面談を求めるなど慎重な対応が必要になることもあるので注意が必要です。
根気強く注意指導を行っていると、このように「パワハラだ」と主張されることもあるので、前述のように人格の否定をしないようにしたり面談等で怒鳴らないようにしたりするなど注意指導時のポイントに留意する必要があります。
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この記事の監修者:本田泰平弁護士
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