日本全国に対応しております!
受付時間:平日9:00~17:00
日本全国に対応しております!
更新担当者 弁護士 友永隆太 (ともなが りゅうた)
目次
懲戒解雇が原則です。
会社のお金を使い込んだ社員については、金額の多寡を問わず、懲戒解雇をしてかまいません。
裁判所も、会社のお金を使い込んだ社員については、懲戒解雇が相当であると判断しています。
しかし、下記のようなケースでは、訴訟等のトラブルになることがあるため、注意が必要です。
①退職金を、一切不支給とする場合
②お金を使い込んだか否かが書類などから必ずしも明確ではなく、従業員と会社に事実認定に争いがある場合
資金管理や業務遂行の過程で不正が起きにくい体制を整えます。
また、社員に対する倫理教育を定期的に実施し、不正行為が許されないことを明確に伝えましょう。
これにより意識の向上を図ります。
さらに、不正防止のための監査体制を確立し、異常な取引や手続きを早期に発見する仕組みを導入するとよいです。
こうした取り組みが横領リスクの軽減につながります。
就業規則に懲戒事由が無ければ、そもそも懲戒処分はできません。間違いなく、解雇などの処分は無効となります。
懲戒事由に該当しなければ、懲戒処分をすることができません。抽象的な行為しか記載していない企業がほとんどですが、可能な限り具体的に列挙すべきです。
懲戒解雇の場合は、退職金を不支給とすることができると定めなければ、退職金を不支給とすることができません。規定がなければ、間違いなく退職金の不支給の処分は無効となります。
業務上横領を防止するためには、まず明確な禁止規定を設けることが重要です。
禁止規定には、横領行為自体の定義や適用範囲を具体的に記載し、何が違反行為に該当するかを誰にでも分かりやすく示します。
これにより、社員は自らの行動が規則違反であることを認識しやすくなります。
また、禁止規定とあわせて違反時の罰則や懲戒処分についても詳細に定めることが望ましいです。
これにより、不正行為に対する抑止効果が高まります。さらに、規定が現実の業務環境に即して適切に運用できるよう、定期的な見直しも忘れてはいけません。
このように、具体的かつ実践的な禁止規定を整備することで、業務上横領のリスクを効果的に減らすことが可能となります。
感情的にならず、問題の原因や影響範囲を整理します。
次に、関係者の話を公平に聴き取り、状況の全体像を明確にしましょう。
また、早期に適切な対応を検討し、迅速に行動する必要があります。
問題の放置は事態の悪化を招くため、社内規定や法律に基づいた対処を進めるとともに、必要に応じて専門家の助言を得ることも考慮すべきです。
さらに、コミュニケーションを密にして社内の混乱を避け、再発防止策を検討することも重要です。
これらの対応を通じて、組織全体の信頼回復に努めることが望まれます。
訴訟になれば、証拠がなければ勝てません。裁判所は、客観的な証拠を重視します。客観的な証拠とは、お金の使い込みがわかるような帳簿、書類をいいます。
特に、従業員が使い込みを否定する場合も多々あるので、このような証拠を確実にそろえておく必要があります。
本人以外の関係者の供述なども紙の記録に取っておく必要があります。
突然お金を使い込んだと見られる従業員が退職申し出をする場合があります。この場合は注意が必要です。
なぜなら、退職申し出から14日が経過すると従業員は退職し、懲戒処分ができなくなってしまうからです。
退職金を払わなければなりません。この場合は、時間との戦いです。14日以内に懲戒処分をしなければなりません。
ただし、「退職した場合も懲戒解雇事由に該当する行為があった場合には退職金を支給しない」との就業規則の規定があれば、退職しても支給しないことも許されます。
また、退職金を支払っても、「懲戒解雇該当事由があると判明した場合には、退職金の返還を求めることができる」との就業規則の規定があれば、支給しても返還を求めることができます。今のうちから、就業規則を整備しましょう。
会社のお金を使い込んだ従業員に退職金を支払うことは絶対にしたくない。でもトラブルにはしたくない。
そのような場合におすすめなのは、退職金を一部支払うことにして、その一部を被害金の弁償にあてるとして、従業員と合意することです。
従業員には退職金を実質支払わなくともよいし、トラブルも未然に防ぐことができます。
ただし、合意書の文言については注意してください。
文言に不備があると、トラブルが再燃しかねません。専門家に相談してください。
会社のお金を使い込んだと従業員に一銭も払いたくないという気持ちはわかりますが、懲戒解雇でも解雇予告手当を支払った方がよいです。
労基署に事前に申告して支払わなくてもすむ手続きがありますが、ほとんど労基署は認めません。
お金を使い込んだ従業員につけいる隙を与えないようにきちんと解雇予告手当を支払いましょう。
トラブルが起こってから取ることができる手段は限られます。
就業規則の整備も含め早めに専門家に相談してください。
相手の話を遮らず、率直な意見を引き出す環境を整えましょう。
質問は具体的かつ明確にし、曖昧な表現は避けることがポイントです。
聴取中はメモをとり、内容を正確に記録してください。
感情的な対応や圧迫的な態度は避け、信頼関係を損なわないよう心掛ける必要があります。
加えて、聴取の目的や今後の手続きについても説明し、従業員が混乱しないよう配慮することが大切です。
これらを踏まえて適切に進めることが求められます。
告訴は被害の回復や再発防止の観点から重要な手段となりますが、同時に社内の関係性や今後の労務問題への影響も考慮すべき事項です。
告訴を決定する前には、事実確認を徹底し、証拠の収集を行うことが必須となります。
また、法的手続きに精通した専門家の意見を仰ぎ、適切な対応策を検討することが望ましいです。
刑事告訴は被害者の意思で進めることが基本ですが、企業としては社会的責任や企業価値を守る観点から、適切な判断が求められます。
告訴の有無にかかわらず、再発防止策の強化を併せて推進することが大切です。
具体的な損害額や横領の事実を示す書類を揃えて、請求内容を明確にします。
次に、請求は文書で行い、相手に対して正式に損害賠償を求める意思を伝えます。
この段階では、交渉により解決を図るケースが多いです。
交渉が成立しない場合は、民事訴訟を検討します。裁判所に損害賠償請求の訴えを提起し、証拠に基づいた事実認定を経て判決を得る手続きが進みます。
この過程では、法的な知識と正確な手続きが求められるため、専門家の助言を得ることが効果的です。
迅速かつ適切に対応することが重要です。
職務分掌を明確にし、特定の担当者に過度な権限が集中しないようにします。
加えて、取引の二重チェックや定期的な内部監査を実施し、不正の兆候を早期に発見できる体制を整えることが効果的です。
社内の透明性を高めるため、資金の流れや取引内容をその都度記録・報告する仕組みも欠かせません。
こうした取り組みを継続して運用することで、リスクを最小限に抑えられます。
問題社員対応の解決事例として、当事務所では以下のようなものがございます。
どのようにして弁護士と共に、問題社員対応に際して生じるトラブルを解決するのかのご参考にしてください。
また、労働問題で起きる代表的なトラブルや弁護士に相談すべき理由について解説した記事もございますので、ぜひご一読ください。
使用者側の労務トラブルに取り組んで40年以上。700社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題社員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。
まずはお気軽にお電話やメールでご相談ください。
お電話・メールで
ご相談お待ちしております。
受付時間:平日9:00~17:00
受付時間:平日9:00~17:00
日本全国に対応しております!
この記事の監修者:向井蘭弁護士
杜若経営法律事務所 弁護士
弁護士 向井蘭(むかい らん)
【プロフィール】
弁護士。
1997年東北大学法学部卒業、2003年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。
同年、狩野祐光法律事務所(現杜若経営法律事務所)に入所。
経営法曹会議会員。
労働法務を専門とし使用者側の労働事件を主に取り扱う事務所に所属。
これまで、過労死訴訟、解雇訴訟、石綿じん肺訴訟。賃金削減(就業規則不利益変更無効)事件、男女差別訴訟、団体交渉拒否・不誠実団体交渉救済申立事件、昇格差別事件(組合間差別)など、主に労働組合対応が必要とされる労働事件に関与。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、労働関連誌への執筆も多数
解雇・退職勧奨の関連記事
問題社員対応の関連記事
キーワードから記事を探す
当事務所は会社側の労務問題について、執筆活動、Podcast、YouTubeやニュースレターなど積極的に情報発信しております。
執筆のご依頼や執筆一覧は執筆についてをご覧ください。