答弁書の書き方・書式は?記入例やポイントを解説

答弁書の書き方・書式は?記入例やポイントを解説

労働審判の期日は原則3回までと限られています。

そのため、短い手続きの中で少しでも有利な心証を得るという戦略的観点からは、使用者として労働審判の特性をよく理解して答弁書の提出を行う必要があります。

本コラムでは、労働審判における効果的な労働審判の書き方について解説します。

1, 答弁書とは

答弁書とは、自分が訴えられた際に裁判所へ提出する書類のことです。

訴えた側は裁判所へ訴状を提出しますが、答弁書では訴状の内容を認めるかどうかの意思を示します。

答弁書を提出しないまま放置しておくと、自分の立場や主張を裁判所に示すことができず、訴状の内容を全面的に認めたと受け取られかねないので注意が必要です。

答弁書を書くときは、いくつかの点を確かめておく必要があります。

まず確認したいのが、裁判所から特別送達で送られてきた送付書類です。

次に、訴えを受けた裁判所と期日なども確認しておきましょう。答弁書などの書類には提出期限があるので、事前に把握しておく必要があります。

また、裁判所は遠方の可能性もあるので気を付けてください。

 

2、答弁書の書式

答弁書を書くときは、A4用紙のサイズで作成するようにしましょう。

答弁書に限らず、裁判所で扱われる書類はすべてA4用紙で作成されています。

提出した答弁書は裁判所においてパンチで穴を開けて保管されるため、左側にある程度の余白を残しておいてください。

答弁書の書式は厳密に決定されているわけではありませんが、推奨されているフォーマットは存在します。

1ページあたり26行、1行37文字、フォントサイズは12ポイントが望ましいとされているので、なるべくこの書式で作成するとよいでしょう。

余白については、右側15~20mm、左側30mmが推奨されています。

答弁書が複数ページに及ぶ場合は、各ページ下部の中央に番号を振り、左側をホッチキスで綴じておいてください。

また、答弁書には必ず記載しなくてはならない内容があります。

まず、口頭弁論期日呼出状に記載がある事件番号や事件名は記載が必要です。

その他、当事者の名前や作成年月日なども書いておかなくてはなりません。

 

3、労働審判の答弁書の書き方とポイント

請求・主張・証拠のピラミッド構造

民事裁判は、請求・主張・証拠のピラミッド構造から成り立っていると言われます。

請求とは、誰にいくら支払って欲しいという裁判で求める結論のことです。

主張とは、請求を認めるための根拠となる事実の主張です。例えば、誰にいくらお金を貸したから返して欲しいなどの事実を述べます。

証拠とは、主張を裏付ける物です。例えば、借用証などがこれにあたります。

労働審判で、使用者は答弁書を作成しなければなりませんが、これは上記の請求・主張・証拠のうちの請求・主張について述べる書面となります。

また、労働審判は、簡易迅速な手続のため、労働審判に記載されているものでも、証拠と同様に扱われることがあります。

例えば、本来、民事裁判では証人尋問に替わる物として陳述書という書面を証拠として提出することがありますが、労働審判においては、簡易迅速な手続のために、答弁書に記載されていれば別途陳述書の提出は不要であると言われています。

認めるところ、認めないところをはっきり記載する

民事裁判は、刑事裁判と異なり、客観的な真実を追究するものではありません。

民事裁判は、当事者同士の争いですので、当事者双方が納得することを重視します。

したがって、労働審判を含む民事裁判では、重要な事実について当事者双方が認めた場合、その事実をそのまま裁判所はそのまま認定してしまいます。

そのため、答弁書では、安易に労働者側の言い分を認めると記載すると、そのまま裁判所はその事実が虚偽であっても事実であると認定してしまいます。間違えて認めたとの言い訳は通用しません。

答弁書では、事実を認めるのか認めないかをはっきり区別して記載しなければなりません。

事実を認めない場合は、それだけでは足りず、事実を認めない理由を具体的に記載しなければなりません。

例えば、未払い残業代を請求する労働審判では、会社は確かに労働者のいう未払い残業代は支払っていないが、それは会社の計算によれば、未払い残業代は発生しないからだなど具体的に反論する必要があります。

具体的事実を記載しないと使用者が労働審判で勝つことはまずない

労働審判に限らず、労働裁判全般にいえることですが、答弁書等準備書面に具体的事実を記載しなければ労働審判に勝つこと(もしくは使用者にとってある程度満足できる和解)はできません。

裁判は、具体的事実とそれを裏付ける証拠があるかどうかで勝敗が決まります。

例えば、使用者が労働者の能力がないので解雇をしたというのであれば、使用者は労働者の能力がないことを裏付ける事実を記載して、それを裏付ける証拠を提出しなければなりません。

例えば、対象労働者が営業担当者であれば、顧客から○年○月○日に○との苦情があった、同僚の営業担当者の中で成約率が一番低かったなどの具体的事実を記載しなければなりません。

また、必ず、会社の書類、メモ、メールなどをもとに裏付けを取れる事実だけを答弁書等に記載してください。弁護士に依頼する場合は、会社の書類、メモ、メールを持参して打ち合わせをして弁護士に事情を説明してください。

人間の記憶というものは頼りにならないものです。

記憶のみに頼り漫然と誤った事実を記載した場合に労働者側から思わぬ反論を受けることがあります。

その場合は、裁判所は会社の主張は信用できないと判断してしまいます。

労働審判は短期決戦であるため、裁判所の心証を害さないように慎重に事実を述べなければなりません。

5W1Hを必ず記載する

何度も述べますが、答弁書に何をどのように記載するかが労働審判において勝敗の分かれ目となります。

その際、誰が、いつ、どこで、何のために、何をどうしたかを丁寧に記載しなければなりません。

通常のビジネス文書であれば、いちいち、主語を記載しなかったり、時期を特定しなくともよいかもしれませんが、裁判においては、主語が無かったり、時期を特定しなかった場合は読み手が誤解する可能性があるため、しつこいくらい5W1Hを特定しなければなりません。

労働審判の答弁書の書き方から提出、提出後の動きに不安を感じている方はまずはご相談ください。

使用者側の労務トラブルに取り組んで40年以上の杜若経理法律事務所がサポートいたします。


 

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4、労働審判の答弁書の提出方法

労働審判の答弁書の記載方法だけでなく、提出方法についても確かめておきましょう。

答弁書の提出期限は、第1回口頭弁論期日の1週間前を指定されている場合が多いです。

万が一提出期限を過ぎてしまった場合も、裁判の期日前であれば受理してもらえるため、なるべく早めに提出するようにしてください。

 

5、労働審判の答弁書を提出した後の流れ

労働審判の答弁書を提出した後は裁判に出席することになります。

労働審判の第1回期日では、裁判官や審判員が出席者に対して直接事実関係の認識や主張について質問をします。答弁書ということが矛盾したりした場合は挽回することは難しいです。答弁書にはない主張を滔々と述べてみたり、答弁書とは矛盾する答えを述べることは非常に印象がよくありません。

また、双方の言い分が出そろった場合は、裁判所が調停を早速試みることがあります。そのため、労働審判の第1回期日に向けて準備をしておくことが非常に重要です。

具体的な労働審判の第1回期日の流れや概要については、こちらのコラムで解説しています。

 

6、労働審判に関する解決事例とその他参考情報

労働審判の解決事例として、当事務所では以下のようなものがございます。どのようにして弁護士と共に、労働審判に際して生じるトラブルを解決するのかのご参考にしてください。

また、労働問題で起きる代表的なトラブルや弁護士に相談すべき理由について解説した記事もございますので、ぜひご一読ください。

労働審判に関する解決事例の一部

・職場内でのいじめを原因として精神疾患を発症したと主張する従業員が、会社に損害賠償請求してきたが、7割の減額に成功した事例

・会社を退職した元従業員が、自己の在籍期間分について会社に残業代請求をしてきたが、8割の減額に成功した事例

 

 

その他参考情報

・労働問題で起きるトラブルとは。労働問題は弁護士に相談するべき?

 

7, 労働審判には専門的な知識が必要です。まずは弁護士にご相談ください。

使用者側の労務トラブルに取り組んで40年以上。700社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題社員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。

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この記事の監修者:向井蘭弁護士


護士 向井蘭(むかい らん)

杜若経営法律事務所 弁護士
弁護士 向井蘭(むかい らん)

【プロフィール】
弁護士。
1997年東北大学法学部卒業、2003年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。
同年、狩野祐光法律事務所(現杜若経営法律事務所)に入所。
経営法曹会議会員。
労働法務を専門とし使用者側の労働事件を主に取り扱う事務所に所属。
これまで、過労死訴訟、解雇訴訟、石綿じん肺訴訟。賃金削減(就業規則不利益変更無効)事件、男女差別訴訟、団体交渉拒否・不誠実団体交渉救済申立事件、昇格差別事件(組合間差別)など、主に労働組合対応が必要とされる労働事件に関与。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、労働関連誌への執筆も多数

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