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新型コロナウイルス影響下における労働組合対応について

はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下において労働組合側から団体交渉の申し入れがあった場合に、会社側が団体交渉に応じる必要はあるかという点については実務上問題になっています。そこで、このページでは新型コロナウイルス影響下における労働組合からの団体交渉申し入れに対する会社側の対応の仕方について解説いたします

1.会社側の取るべき対応

結論からご説明しますと、新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下においては、会社側に対面での団体交渉に応じるまでの義務はなく、電話会議やWEB会議の方式での開催を要求することも可能と考えられます。実務上は、労働組合からの団体交渉開催の申し入れがあった場合には、会社側から電話会議やWEB会議の方式での開催を提案し、双方の話し合いのもと合意した方法により団体交渉を開催することとなります。

2.対面での団体交渉に応じる義務があるか

(1)団体交渉の原則的な態様

会社側には、法律上、労働組合からの団体交渉申し入れに対して誠実に応じる義務が課されています(労組法7条2号)。そして、ここでの団体交渉の開催は原則として対面で行うことが想定されています(清和電気産業事件・福島地裁いわき支部平成元年11月15日判決)。

(2)対面以外の方法が認められる場面

もっとも、団体交渉は通常労使双方から複数名が参加するため多人数で行うこととなりやすく、また、交渉の性質上室内の密閉された場所で近距離で行われます。そのため、対面での団体交渉はいわゆる三密の状態になってしまうため、感染予防の観点からはリスクのあるものといわざるをえません。

また、裁判例や労働委員会も、労使間の合意がある場合や、対面方式をとることが困難であるなどの特段の事情がある場合には対面以外の方法の余地があることを認めています(前掲清和電気産業事件、アート警備事件中労委命令平成31年1月31日)。

そして今回のケースでは、新型コロナウイルスの感染拡大の状況や感染した場合の影響、上記のような対面での感染リスクに鑑みれば「対面方式をとることが困難である」場合に該当すると考えることができます。したがって、労使間での合意がある場合はもちろんのこと、そのような合意に至らない場合にも会社側から対面以外の代替方法を提案の上、対面の団体交渉を拒否することは可能と考えます。

3.代替の交渉方法と実務上の対応について

(1)適切な代替の交渉方法

対面での団体交渉を拒否する場合であっても、団体交渉の機会を確保するために会社側から合理的な代替方法を提案する必要があります。

対面での団体交渉の代替方法として想定されるのは書面交換・電話会議・WEB会議等での交渉です。このうちどのような代替方法を提案すべきかはケースバイケースにはなりますが、少なくとも労使双方の信頼感関係が構築されていない初回の団体交渉前の場面においては、労使双方の意見交換を十分に行う方法として(書面交換以外の)電話会議やWEB会議などのリアルタイムでの交渉方法を提案することが適切と考えられます。さらにいえば、団体交渉中の発言者の認識のしやすさ、また、画面共有などの機能で資料の提示もできる等の観点からはWEB会議の方法が望ましいでしょう(WEB会議の場合にはカメラで双方の姿を写すことができます)。

(2)実務上の対応

実務上の対応としては、初回の団体交渉申し入れを受けた場合には、まずは会社側からWEB会議での方法を提案してみて、もしシステム上の問題等から難しいようであれば電話会議での方法を提案するといった方法が考えられます。そして、双方が合意した方法により団体交渉を実施することになります。なお、労働組合側が対面での団体交渉にこだわり他の方法を受け入れない場合には、会社側がこれを拒否して結果的に団体交渉が実施されなくても団体交渉応諾義務違反にはならないと考えられます。

また、実際には団体交渉の代わりに事務折衝(労使双方の限られた担当者のみで行う事前調整のための話し合い)を行うこともありますが、あくまでも事務折衝は団体交渉とは区別されていますので事務折衝を提案していることをもって団体交渉を拒むことができない点には注意が必要です。

4.WEB会議の団体交渉での注意点

団体交渉をWEB会議で行う場合にはいくつか注意しておくべきポイントを説明します。

①録音・録画の事前のルール決め

画面越しに無断で録音・録画が行われる可能性があるため、事前に録音・録画により記録をするかどうか双方でルールの確認をしておく必要があります。

②開示予定資料の共有方法

対面の団体交渉では開示資料は直接提示することができますが、WEB会議の場合には交付予定の資料は事前に郵送やメールなどで送付しておく必要があります。

また、WEB会議の機能を使えば画面共有などでその場で資料を写しだすことも可能です。ただし、この場合には相手方からスクリーンショットを撮られる可能性があることも考慮の上、会社の見解や根拠を示すために必要な範囲に限って開示したり、開示不要な箇所はマスキングする等の事前の準備が必要です。

杜若経営法律事務所
使用者側の労務トラブルに取り組んで40年以上。400社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題社員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応。弁護士が得た経験やご相談を執筆しております。