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| 業種 | 小売店 | |
| 従業員数 | 6名 | |
| 解決方法 | 和解(訴訟外の交渉) | |
| 結果 | 請求額 | 解決金 |
| 1200万円 | 300万円 | |
小売店を運営する企業様から、閉店した店舗の従業員が、退職後に代理人弁護士を通じて未払残業代等を請求してきたというご相談をいただきました。当該元従業員は円満退職しており、社長や従業員からの信頼も厚かったことから、会社としても突然の請求に驚かれている状況でした。
会社では、固定残業代を廃止した経過措置として固定残業代と同額の「調整手当」を支給しており、これが残業代の基礎単価に算入されるべきか否かが争点の一つとなりました。また、会社は変形労働時間制を採用しておりましたが、実際の勤務実態(シフト)とカレンダー上の勤務予定とが一致していない部分があり、変形労働時間制の有効性についても厳しい見通しが予想される事案でした。
さらに、労働時間の管理については、本人が作成した手書きの出勤簿のみが証拠として存在していました。
当事務所では、まず会社側の計算結果と反論書面を提出し、変形労働時間制は有効であり、時間外労働分についてはすでに時給計算により支払い済みであるとの主張を行いました。書面による反論後は、先方代理人と上記の論点について、双方の意見交換をし、交渉を行いました。
最終的に、会社が従業員に対し、解決金300万円を支払うことで裁判外の和解が成立しました。請求額に対し、約75%の減額での解決となりました。
本件のような固定残業代を巡る紛争では、当該手当が時間外労働の対価としての実質を有しているか、すなわち、通常の労働時間に対する賃金部分と割増賃金に対応する部分とを判別できるか(明確区分性)、その手当が時間外労働に対する対価として支払われているといえるか(対価性)が厳しく問われます。
また、変形労働時間制についても、就業規則等で制度を定めているだけでは足りず、対象期間の各日・各週の労働時間を変形期間の開始前に具体的に特定し、かつ実態としてもそのシフトどおりに運用されていることが必要です。本件のように、シフト表(カレンダー)と実際の勤務実態が一致していない場合には、変形労働時間制の適用自体が否定され、原則どおり1日8時間・1週40時間を超える部分がすべて時間外労働として扱われるリスクが生じます。
さらに、労働時間管理を本人の手書きの出勤簿のみに頼っていたことも、会社にとって不利な事情でした。タイムカードや勤怠管理システムなどの客観的な記録がない場合、実労働時間の認定は労働者側の申告に沿ってなされやすく、会社側の反論の説得力が下がってしまいます。
本件では、早期に反論をしつつ、訴訟に移行した場合のリスクを具体的に見積もりながら、相手方の提示額との間で現実的な解決水準を探ったことにより、訴訟に至る前の任意交渉の段階で、請求額から約75%減額した金額での早期解決に至ることができました。固定残業代や変形労働時間制の有効性に争いがある事案では、訴訟に発展した場合の見通しとリスクを具体的に数値化した上で、交渉によって早期の解決を図ることも有効な選択肢の一つといえます。
使用者側の労務トラブルに取り組んで50年以上。700社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題従業員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。
今回ご紹介した企業様からは裁判終了後も当事務所との顧問契約を継続していただいており、賃金制度設計の見直しや日頃の労務管理についてのアドバイスをさせていただいております。労働紛争は目の前の紛争事件の解決のみではなく、紛争が解決した後に同じような問題が起こらないようにフォローすることも重要になります。
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