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第23回 平成21年12月21日 「人員削減②」

1)事業所閉鎖の場合、閉鎖事業所のみを対象にして良いか?

会社が特定の事業所を対象として希望退職を募集することは可能か?前回でも述べたとおり、希望退職募集は、一般的に通常の退職よりも条件を上積みして従業員の自発的な退職の意思表示を誘う行為である。特定の一部の事業所のみで希望退職募集を行うことも可能である。

一方、労働組合との団体交渉では、労働組合側から「全事業所を対象として希望退職を募集するべきである。他の事業所で希望退職を募集すれば、応募する従業員が出る可能性がある。その事業所に欠員が出れば現在の事業所の従業員を配転することも可能となる。全事業所を対象として希望退職を募集しないと解雇回避努力として足りない」と指摘されることがある。

しかし、不採算の事業を合理化する上で、特定の事業所のみを対象として合理化を行う必要がある場合もあるのであるから、特定の一部の事業所のみで希望退職募集を行うことは可能である。

2)会社が承認する者のみ適用を認めることはできるか?

会社が希望退職募集を行う際、事業運営上欠くことのできない人材を退職させたくないため、会社が承認するものに限るなどの条件をつける場合がある。

このような条件を付けることは、会社が承認する者のみ希望退職募集にある条件で退職することを認めるに過ぎず、従業員が希望退職募集の条件によらずに通常の条件で退職する自由を阻むものではないので、違法ではない。


労働組合は団体交渉などにおいて「会社が承認する者」とはどのような者を指すのか明らかにせよなどと述べることがあるが、会社は個別具体的な人の名前を出す必要はなく、「会社が承認する者」が特定の事業や業務に携わっている者などであるなどと言い、ある程度具体的に特定できる範囲で答えられれば足りると考える。

 

3)発表時期はいつがよいか?

会社内に労働組合がある場合は、希望退職募集についても労働組合と団体交渉を行うことになるため、募集開始日の少なくとも1ヶ月前までには労働組合に提案するべきである。

 

また、従業員も希望退職募集に応募するか否か家族と相談する時間などが必要であるため、性急に希望退職を募集しても、対象従業員が退職するべきか決断がつかない可能性も高く、会社が希望する応募者数を確保できないことがある。

4)募集人員はどのように決めるべきか?

希望退職を募集する際、募集人員数を決める必要がある。一概には言えないが、製造業であれば現在の生産量にみあう人員数、割増退職金の予算規模、会社の資金繰り状況などをもとに決定することになる。


また、一度希望退職募集人員数を決定した後に、団体交渉を開催することになるが、団体交渉の過程において、希望退職募集人員数を減らすことは容易であっても、希望退職募集人員数を増やすことは事実上困難である。

 

希望退職募集人員数を団体交渉の途中で増やすことは、会社の希望退職募集計画自体が杜撰である、誠実に団体交渉を行っていないなどと指摘される可能性がある。希望退職募集人員数を決めかねた場合は、多めに労働組合、従業員に提案する方がよいと考える。

 

5)募集期間はどのくらいがよいか

希望退職募集の条件にもよるが、従業員は他の従業員が希望退職募集に応募するか様子を見ながら、希望退職募集に応じることが多いことから、ある程度募集期間についても時間が必要である。十分に応募者を集めるためには、募集期間は1週間では短く、最低でも2週間程度は必要であると思われる。

6)募集人員に応募者が達しなかった場合、2次募集を行って良いか?

希望退職募集を行った結果、応募者が会社が希望する人員数に達しない場合、または労働組合と協議をしたが希望退職募集の条件について合意できない場合は、希望退職募集の2次募集を行っても良い。

 

ただし、2次募集において、割増退職金を1次募集時よりも上積みすることはできない。

 

従業員が1次募集において希望退職募集に応募した場合は、その応募した従業員が不満を述べるであろうし、応募するべきか迷っている従業員も会社の姿勢に不信感を抱くことになる。もっとも、団体交渉において、(1次の)希望退職募集前に労働組合との協議の過程において割増退職金を上げることは構わない。

 

7)募集人員に応募者が達しなかった場合はどうすればよいか?

希望退職募集を行ったが、応募者が少なく希望退職募集の募集人員に達しなかった場合、整理解雇を行うべきか?もちろん事案により一概には言えない。


では、希望退職募集の募集人員にわずかに足りない場合(1名、2名足りない場合)はどうか?これも事案によるが、募集人員にわずかに足りない場合に整理解雇を実施した場合、いわゆる整理解雇の4要素のうちの人員削減の必要性を裁判所が肯定するかは不明である。

 

裁判例の中には人員削減の必要性を否定したものもある(30名のうち29名が希望退職に応募した事例、九州日誠電気事件、熊本地裁決定平成14年8月30日、労判840号92頁)。募集人員にわずかに足りない場合に整理解雇を行うべきか否かについては慎重な検討が必要である。

8)希望退職募集中に退職勧奨を行って良いか?

労働組合との協議がまとまらず、会社が希望退職募集に踏み切った場合、労働組合の協力が得られず、思うように希望退職に応募するものが表れない場合があり、会社が個別に従業員と面談し退職勧奨を行うことがある。

 

労働組合は、組合員に対し退職勧奨の面接を行わないように指示し、会社に対し退職勧奨を行わないように要請することがある。

退職勧奨は、その名の通り雇用契約の合意解約の申し出または辞職の意思表示を促す行為であるにすぎず、希望退職募集中に業務時間内に面接の機会を設け退職勧奨を行うことは違法ではない。


もっとも、面接の機会を設けても希望退職募集に応じないという本人の意思が固ければ、それ以上退職勧奨を行っても本人の翻意させることは困難であることから、退職勧奨をそれ以上行うべきではない。

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