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  • 会社の解散・営業譲渡②

第18回 平成21年11月9日 「会社の解散・営業譲渡②」

1)新会社設立の場合

会社を解散して別会社に営業譲渡をした場合、譲渡会社と譲受会社が実質的に同一である、会社解散に伴う解雇は無効であり、譲受会社に雇用は承継されるべきであると争われる場合があります。

①譲渡会社と譲受会社の実質的同一性

譲渡会社が解散しても、解散後譲受会社が同一の経営者によって同一の事業を営んでいる場合は、譲渡会社と譲受会社が実質的に同一であるとして、譲渡会社における解雇が無効であると争われるケースがあります。


会社解散に伴う解雇は、上記で述べたとおり有効ですが、形式的には会社が解散していても実質的には別会社で同一経営者が同一営業を行っている場合は、整理解雇のいわゆる4要素に照らして有効性が判断され、人員削減の必要性に欠けるとして解雇が無効となります。

では実質的同一性はどのように判断されるのでしょうか?
事業内容、資本、取締役などの経営者、会社施設の同一性などをもとに判断します。
実質的同一性が認められる場合、認められない場合の区別は困難ですが、譲渡会社と譲受会社の取締役、株主が共通であっても、従業員や業務が全く別個のものとして区別され、事業所が別である場合に実質的同一性が否定された例があります(板山運送事件、名古屋地裁平成17年4月19日判決、労働判例899号76頁)。

学校法人の例では、旧法人が経営破綻により解散し、新法人が東京都から設置者変更の許可の手続を受け旧法人から営業譲渡を受けたものの、旧法人の採用を希望する教職員から一部の者を不採用にした事例があります(東京日新学園事件、東京高裁平成17年7月13日判決、労働判例899号19頁)。


この場合、新法人は事業用資産や生徒等をそのまま引きついでおりますが、学校法人の場合は、東京都知事が新法人の設立・設置者変更(営業譲渡)を認可し、旧法人に在籍する生徒の教育に一切支障を来さないことが要請されていたため、裁判所は事業用資産や生徒等の引き継ぎについては当然であるとして、新法人が事業用資産や生徒等をそのまま引きついだことを実質的同一性の判断の上では重視しませんでした。

新会社設立の場合は、上記の場合と異なり、これまでの事業実績、実態がありませんので、取締役、株主・事業所所在地・営業内容(顧客も含む)が同一であれば、実質的同一性が肯定される可能性が高いと考えます。

②譲受会社における雇用契約の承継

では、譲渡会社と譲受会社に実質的同一性はないものの、譲受会社が特定の従業員のみ採用しなかった場合はどうなるのでしょうか?
上記のとおり、特定の労働組合員のみを排除する場合は、実質は全ての従業員の雇用関係を引き継いだものと等しいので、不採用は無効となり、特定の労働組合員も譲受会社において従業員の地位を有することになります。

一部の従業員が譲受会社が提示する労働条件に同意しない場合は、「営業譲渡の場合、譲渡人と被用者との間の雇用関係を譲受人が承継するかどうかは、原則として、当事者の合意により自由に定め得るものと解される」ので(中労委(青山会)事件(東京高裁判決平成14年2月27日、労判824号17頁))、譲渡会社は当然のことながら、譲受会社が提示する労働条件に同意しない従業員を採用する義務はありません。

2)事例のあてはめ

それでは、これまでの説明をもとに本件事案について回答したいと思います。
物流運送が解散し、事業廃止に伴い全従業員を解雇することは、有効であるとされています。

ただし、労働組合を嫌悪して、特定の労働組合員を排除する目的を有し、単に形式的に会社を解散し、新会社(譲受会社)で実質的に同一の事業を営む場合は、解雇は無効となります。
実質的に同一性があるか否かは、事業内容、資本、取締役などの経営者、会社施設の同一性などをもとに判断されます。

物流運送と譲受会社が実質的に同一性を有している場合、譲受会社は従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継しなければならなくなります。

物流運送と譲受会社が実質的に同一性を有しない場合、譲受会社がどのような従業員をいかなる労働条件で採用するかは、物流運送と譲受会社の合意にもとづいて決められるもので、物流運送の従業員を全員採用する義務はありません。

 

したがって、譲受会社は、同会社が提示する労働条件に同意しない従業員を採用しないこともできます。
もっとも、特定の労働者を組合員ないし組合活動をしたことを理由に排除する場合は、そのような合意は無効であり、譲受会社は従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継しなければならなくなります。


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