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第16回 平成21年10月26日 「賞与の交渉」

1)賞与とは

賞与は、労使の交渉または使用者の決定により算定基準・支給基準が定まり、算定に必要な成績査定もなされて発生するものである。(菅野和夫「労働法」第8版216頁)。
したがって、月例賃金とは異なり、使用者が就業規則で定めない限り、使用者が労働者に対し一定の金額を支給しなければならないものではない。

2)賞与の労使交渉

①賞与の決定方法

従業員に組合員がいる場合、使用者は、賞与を支給する前に賞与の支給額について従業員が所属する労働組合と交渉をする必要がある。通常は、労働組合が夏季または冬季の賞与について希望する支給額を要求し、これを受けて使用者と労働組合が交渉を行う。使用者と労働組合が合意すれば、使用者は組合員である従業員に対し賞与を支給することになる。

使用者と労働組合が合意する対象として、支給原資について合意することが多くみられる(「夏季賞与 組合員平均●.●ヶ月」という形で回答することが多い)。使用者が労働組合に支給原資の数値を示す場合は、組合員についての支給原資を答えれば足り、非組合員を含めた支給原資を答える必要はない。

労使で支給原資に合意した後、使用者は、成績査定にもとづいて組合員各自の賞与を支給する(支給原資の範囲内で賞与を支給する)。労使で従業員平均●.●ヶ月分賞与を支給することで支給原資について合意したとしても、一律●.●ヶ月を賞与として支給する必要はない。
もっとも、使用者と労働組合が「夏季賞与 組合員一律●.●ヶ月支給」と合意した場合は、合意したとおり支払わなければならない。

 

②非組合員と組合員がいる場合はどうすればよいのか

大企業の場合、使用者と労働組合がユニオンショップ協定を結び、組合員資格のある従業員は全て組合員であることが多いため、組合員資格があるにもかかわらず非組合員である従業員はほとんどいない。この場合は、賞与に関する労使交渉を労働組合と行い、妥結(合意)した上で賞与を支給することになる。

では、組合員資格があるにもかかわらず、労働組合に加入しない従業員がいた場合はどうすればよいのだろうか。

この場合も、労働組合は組合員の夏季または冬季の賞与について希望する支給額を要求し、これを受けて使用者と労働組合が交渉を行う。当然のことながら、非組合員について、使用者と労働組合が交渉することはないが、非組合員も自分の賞与がどうなるのか関心があるので、使用者は全従業員を対象に(組合員だけ除くことは不当労働行為になるおそれがある)、賞与の支給金額、支給時期について予め説明会を開くことがある。このような説明会を開くことが難しければ、非組合員に不公平感を感じさせないためにも、せめて文書で全従業員を対象に賞与の支給金額、支給時期について知らせる必要がある。

 

③妥結(合意)できないまま支給日を迎えた場合はどうすればよいのか

原則として、使用者は、従業員が所属する労働組合と妥結(合意)することができなければ、組合員に対し賞与を支給するべきではない。労働組合と妥結(合意)していないにもかかわらず、賞与を支給する行為は、労働組合を無視して賞与を支給したとして支配介入(不当労働行為)に該当する可能性がある。

では、労働組合と妥結(合意)できないにもかかわらず、非組合員に対し賞与を支給予定日に支給しても良いのだろうか。使用者と労働組合が団体交渉を行い、協議を尽くしても支給予定日までに労働組合と妥結(合意)できなくとも、非組合員に対しては支給予定日に賞与を支給してもかまわない。労働組合は、組合員に対する不利益取扱であるというかもしれないが、労働組合と妥結(合意)できないから組合員に支払えないだけであり、組合員に対し不利益な取扱いをしたものとはならない。


使用者と労働組合が団体交渉を行っても、支給日までに賞与の支給金額について妥結(合意)出来ない場合は、支給日以降も団体交渉を続けることになる。その場合の文例は以下のとおりとなる。

                            通知書

●労働組合
執行委員長   ●殿
同●支部
執行委員長   ●殿
                                      平成●年●月●日
                                         ●株式会社
                                   代表取締役社長 ●

平成●年夏期賞与について、当社は平成●年●月●日を支給日として予定致しておりますので本書にてお伝え致します。なお、貴組合員につきましても、支給内容につき貴組合と当社との間で平成●年●月●日までに妥結(合意)できた場合には、同じく平成●年●月●●日に平成●年夏期賞与を支給させて頂きます。平成●年●月●日までに妥結(合意)できなかった場合も、団体交渉について引き続き当社は応じますが、貴組合員に対する平成●年夏期賞与の支給は貴組合との妥結(合意)後となります。

                                             以上

 

④賞与の団体交渉ではどのような資料を提出すればよいか

ケースバイケースであり、必ずこの資料を提出しなければならないというものはない。一部の労働組合は使用者に対し決算書を提出しろということがあるが、決算書そのものを提出する義務はないと考えられる。なせなら、決算書には賞与の支給金額を決定する上で必要ではない数値(役員報酬、交際接待費等)が記載されているので、決算書そのものを団体交渉で必ず提出する必要は無いと考える。

賞与は様々な性格を有しておりますが、利益の配分的な要素が強いため、当該年度の売上、利益(赤字の場合も含む)、来期の売上、利益予想の数値は労働組合に伝えるべきであろうがこれまでの賞与の支給金額の実績などと比較しながら労働組合が同意するような説明をしなければならない。

 

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