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第15回 平成21年10月19日 「労働協約の効力と解約の方法」

1)労働協約について

①労働協約とは

労働協約とは、労働組合と使用者またはその団体との間の労働条件その他に関する協定であって、書面に作成され、両当事者が署名または記名押印したものをいう。このように説明するとわかりにくいが、要するに労使間の合意文書を労働協約という。

②「覚書」、「団体交渉議事録」も労働協約になるか?

上記のとおり、労使間の合意文書の表題が「覚書」、「了解事項」等の名称であっても、労働協約になり得る。よく、労働組合が団体交渉終了後、団体交渉議事録を作成し、双方署名押印を求める場合があるが、このような団体交渉議事録であっても、署名をすればその内容によっては労働協約となってしまう。

③解雇等協議・同意約款

労働協約に、解雇・配転等について労働組合と協議する旨、あるいは労働組合の同意を得る旨の条項が定められていることがある。
例えば、団体交渉の1回目に、労働組合から強く言われて、使用者が「労働組合の同意がなければ、組合員の配転・解雇をすることができない」との合意書にサインしてしまうことがある。

このような文書(=協約)に反し、解雇等を行った場合はどうなるのだろうか?

労働協約には、規範的効力という効力が認められている。詳細な説明は省くが、労働協約中の「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」に違反する労働契約を無効とし、無効となった部分は労働協約上の基準によるところとなることをいう。

裁判所は、「労働組合の同意がなければ、組合員の配転・解雇をすることができない」との条項が「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」に当たると判断して、組合の同意を得ない解雇を無効であると判断することが多い。
だから、使用者は、労働組合が何と言っても、このような条項を絶対に結んではいけない。
使用者が労働組合とこのような条項を結んでしまった場合は、労働協約を解約せざるを得ない。

④労働協約の終了事由とは何か

前述のとおり、労使間の合意文書の表題が「覚書」、「了解事項」等の名称であっても、労働協約になり得る。
このような文書(=協約)があるため、使用者が労使関係上多大な負担を感じたり、円滑に業務を遂行できない場合には、労働協約の効力を失わせなければならない。

例えば、使用者が団体交渉で、「就業時間中でも、使用者は団体交渉を行わなければならない」などの「覚書」にサインしてしまった場合などは、就業時間中でも団体交渉に応じなければならなくなる。しかし、これでは会社の業務遂行がままならなくなり、労働協約を解約する必要が生じる。

労働協約は、有効期間の満了、解約、目的の達成、当事者の消滅(労働組合や会社がなくなってしまう)、反対協約の成立などの事由によって終了し、効力を失う。
要するに、労働組合の合意無く、労働協約の効力を失わせるためには、労働協約の有効期間が満了するのを待つか、使用者が労働協約を解約するしかない。

⑤労働協約の解約は自由にできるのか?

期間の定めのない労働協約は、当事者の一方が、署名しまたは記名押印した文書で少なくとも90日前の予告をすることによってこれを解約することができるとされている(労組法15条3項前段・4項)。
解約には格別理由を必要とされていないが、あまりにも恣意的な解約は解約権の濫用とされ、無効とされてしまう。

したがって、労働協約の解約は、条文上は自由にできるのだが、裁判所や労働委員会などでは、後々無効であると判断されてしまう余地があるのだ。

2) 労働協約の解約の方法

労働協約の解約が後々無効であると言われないためには、使用者は、以下のとおり、解約手続を進める必要がある。

①まず、会社は、労働協約を変更したいと労働組合に申し入れ、団体交渉を開催する。
会社は団体交渉で、労働協約を変更したい理由を説明し、労働協約の変更案を提示する。労働組合はもちろんその案に反対するだろうが、会社は少なくとも複数回は団体交渉を開催して、労働協約の変更を主張する。その上で、労働組合と協議を尽くしても、労働協約変更について合意に至らなかったということで、労働協約の解約をすることになる。

②解約する場合は、「●年●月●日付けで●年●月●日締結の労働協約を解約する」と述べると共に、念のため解約する労働協約を添付する。古い労働協約の場合、組合もどの労働協約についての解約なのか明確に理解していないことがあるからである。 

3)組合が解約通知を受け取ろうとしなかった場合

労働組合の中には、労働協約の解約を事前に察知し、解約通知を受け取ろうとしない組合もある。法律上、意思表示は到達しないと効力を生じないので、解約通知は受け取らなければ効力を生じない。内容証明郵便で送っても同じ事である。つまり受領を拒否すれば効力は生じない。


ではどうしたらよいだろうか?

労働協約の解約通知を労働組合との団体交渉の場で読み上げればよい。解約通知をその後受け取らなかったとしても、読み上げたことで解約の意思表示は到達したことになるので、解約を通知したことになる。 

4)労働協約の一部に会社に有利な条項があった場合はどうするか?

労働協約といっても、中には、会社に有利な条項も不利な条項もあることがある。

会社としてはできれば、不利な条項だけ解約して、有利な条項だけは残しておきたいと考えるだろう。

 

しかし、これまでの裁判例からすると、労働協約の一部解約は認められていないことが多い。

労働協約は一体的な契約だから、自分に有利な条項のみを解約することはできないとされている。したがって、労働協約を解約するときは全部を解約するようにする。

 

 

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