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  • 団交申入れにいかに応じるか④

第6回 平成21年8月10日 「団交申入れにいかに応じるか④」

1)団体交渉で労働組合の要求をのまないと不当労働行為になるか?

会社が受け入れることのできない労働組合の要求であれば、具体的な資料や論拠にもとづいて説明した上で、要求を拒否してもかまわない。


労働組合法は、使用者に対し、団体交渉に応じ、誠実に交渉する義務を課している。労働組合の要求をのまないと不当労働行為になってしまうと勘違いしてしまう方もいる。もちろん、会社は、組合の要求に対して、会社の主張を裏付ける資料を提出したり、具体的な事実を説明する必要がある。しかし、それ以上に、会社が労働組合のいうことをそのまま受け入れないと不当労働行為になってしまうというわけではない。会社が受け入れることのできない労働組合の要求であれば、具体的な資料や論拠にもとづいて説明した上で、要求を拒否してもかまわない。 

2)上部団体の役員の出席を拒んでよいか

上部団体の役員の団体交渉への参加を拒否することなく、団体交渉を行うべきである。

会社従業員ではない労働組合の上部団体の役員が団体交渉に出席することが多い。むしろ出席しない方が希である。

団体交渉の議題は、会社と会社従業員の間の労働条件などであるため、会社担当者は、会社とは何ら関係のない労働組合の上部団体の人間と何故協議をしなければならないのかと思うようである。

しかしながら、労働組合法は、使用者は、上部団体の団体交渉の申し入れには応じなければならないと定め、支部や分会と会社との団体交渉であっても、上部団体の役員の参加を拒めない。

会社担当者の方が明確に団体交渉への上部団体の役員の参加を拒んだ場合は、労働組合は猛烈に抗議をする。その時点ではじめて会社担当者の方は、自分の行った行為が違法であることに気づくことが多いようである。労働組合は、会社に対し団体交渉拒否行為について謝罪を求めたりするなどして、自分のペースで団体交渉を進めることになる。余計な紛争をかかえず、スムーズに団体交渉を進めるためにも、上部団体の役員の団体交渉への参加を拒否することなく、団体交渉を行うべきである。

3)団体交渉の回答書の文例

団体交渉を開催するに際し、労働組合から要求書が来ることが多い。要求書に対し、団体交渉で口頭で回答してもよいが、口頭ではなかなか使用者の言い分を伝えることができず、また後で言った言わないの問題を避けるため、下記のとおり簡単でもよいので回答書を作成した方がよい。そして、団体交渉の冒頭で読み上げるべきである。回答書を作成することで議論が脇道にそれたり、話しをすり替えられたりすることを防ぐことが出来る。

回答書の書式は一例にすぎないが
労働組合宛の文書であること
作成日付
会社名、代表者名、押印
いつの何という題名の要求書に対する回答書であるか

を明確にする必要がある。


●労働組合
執行委員長 ● 殿
●労働組合●支部
執行委員長 ● 殿
                                         平成●年●月●日
                                            ●株式会社
                                         代表取締役 ●

                ●年●月●日付「要求書」に対する回答書

1. 「組合事務所及び組合掲示板の設置」について
「組合事務所及び組合掲示板の設置」をする予定はありません。
当社には「組合事務所」を設置するスペース、予算はありませんし、「組合掲示板」についても連絡事項があれば、組合員同士で連絡を取り合えば足りる(メール、携帯電話などで)ことだと思いますので、「組合掲示板」を設置する予定はありません。

2. 「組合会議等のための貴社施設の使用」について
当社には、施設のゆとりはなく、「組合会議等」に当社施設を使用させることはできません。

3. 「大会・中央委員会等、機関会議への参加の有給での保障」について 
「大会・中央委員会等、機関会議への参加の有給での保障」が何を指すのか不明ですが、就業時間中に「大会・中央委員会等、機関会議への参加」を行い、その時間について「有給での保障」を求めるのであれば、就業時間中は職務に専念していただきますので認めません。

4. 「団体交渉は時間内での開催」について
就業時間中は職務に専念していただきますので、団体交渉を就業時間中に開催することはできません。

5. 「労使双方の交渉窓口担当者」について
当社社長に連絡下さい。

6. 「その他、労働組合活動に必要な事項」について
前回団体交渉において、貴組合はチェックオフをするよう求めましたが、事務手続が煩雑でありますので、チェックオフを行うことはいたしません。
                                               以上

4)団体交渉は録音するべきか?

労働組合によっては、団体交渉の際、ICレコーダー等の録音機器で団体交渉の様子を録音しようとするところがある。また、使用者から、団体交渉の様子をICレコーダー等の録音機器で録音しようと提案することもある。

しかし、私は、原則として団体交渉の様子をICレコーダー等の録音機器で録音することを薦めない。ICレコーダーでの録音を薦めない理由は以下の2点である。

ICレコーダー等の録音機器で録音したとしても、裁判所や労働委員会において証拠として提出する場合、もしくは打ち合わせにする場合は、ICレコーダー等の録音機器で録音したものを紙に反訳しなければならない。一度反訳作業を行えば分かると思うが、その作業負担、作業時間たるや相当のものである。それよりも、書記役の団体交渉担当者を一人おいて、団体交渉の場で筆記してもらったほうが手間もかからず、筆記したものでも団体交渉の内容は十分わかる。

かりにICレコーダー等の録音機器で録音したとしても、訴訟や労働委員会で問題になるのは、発言そのものではなくて、どのような意図でその発言をしたのか(例えば、組合の活動を阻害する目的で述べたのか、職場秩序を維持するために述べたのか)、前後の文脈が問題になるため、ICレコーダー等の録音機器で録音したからといって、紛争を未然に防げるものではありません。むしろ、書記役の方が団体交渉の場で記録したものの方が、前後の文脈も明確であることが多い。

もっとも、労働組合が侮辱的・名誉毀損的な発言を行うのであれば、証拠を残すためにも録音を行った方が良いし、労働組合も録音しているのであれば、録音記録の正確性を確認するために、こちらも録音した方が良い。

5)団体交渉はどのような場合に打ち切ってよいか?

労使双方の主張の隔たりが大きく、団体交渉が膠着状態に陥ることがある。労働組合から団体交渉を打ち切る場合はよいが、使用者側から団体交渉を打ち切ることはできるのだろうか?

 

使用者が団体交渉に応じなければならないとしても、特定の事項について際限なく団体交渉に応じなければならないものではない。

ただし、どのような場合に団体交渉を打ち切って良いかは非常に難しい問題である。少なくとも1回や2回の団体交渉で団体交渉を打ち切って良いものではなく、労働組合と使用者が双方意見や(提出しうる)資料を出し尽くすまでは使用者から団体交渉を打ち切るべきではない。

 

使用者が団体交渉を打ち切ることで、労働組合が訴訟や不当労働行為救済申立を行うならまだしも、様々な運動(代表者の自宅や顧客に押しかけるなど)を行うきっかけを与えることになりかねず、労使紛争の解決が困難となる。

 

使用者からは、極力団体交渉は打ち切るべきではない。使用者が団体交渉を打ち切っても、それ以後事情が変更した場合は(例えば労働組合が被解雇者が再就職をしたため、退職を前提とした解決を求めてきた場合など)団体交渉には応じなければならないし、応じた方が紛争の解決に資する。

6)組合が大人数で団体交渉を行うとする場合はどうしたらよいか?

労働組合側が数十名参加して団体交渉を行うと述べた場合は、団体交渉を拒否することが出来るが、使用者側よりも人数が若干多いことを理由に団体交渉を拒否することはできない。

団体交渉は、労使双方の代表者および委任を受けた者が出席して行うものであり、誰でも何人でも出席できるものではない。特に労働組合が、多数の支援者を団体交渉開催会場によび、大人数で団体交渉を開催しようとすることがある。過去の裁判例は、60~100名の支援者参加による団体交渉に応じる義務はないと判断している。いわゆる大衆団交には使用者は応ずる義務はない。

もっとも、大衆団交にあたるかどうかは非常に判断が難しい。議題や労使慣行にもよるが、使用者側よりも人数が多いという理由で団体交渉を拒否することは、紛争を拡大させる可能性があるため、なるべく避けるべきである。

団体交渉出席者が大声を出して威圧したり、侮辱的な発言をした場合は、その都度注意し、それでも直らない場合は文書で警告書を出し、それでも直らない場合は場合によっては団体交渉を拒否することに正当性がある。

 

ただし、団体交渉中の発言が名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪にあたるかどうかは、前後の発言の経緯から慎重に判断しなければならないが、身体に害悪を加えるような発言を改めない場合は団体交渉を拒否しうる。

7)従業員が労働組合に加入しないように説得しても良いか

労働組合結成直後、会社が、労働組合員に対し、労働組合をやめるよう説得してしまうことがある。もちろん、このような行為は、労働組合の運営に介入するものであり、支配介入行為として禁止されている。

 

労働組合員は、色々考えた上で労働組合に加入しているため、会社が労働組合をやめろといって、わかりました、組合から脱退しますと言って、労働組合をやめることはない。むしろ、このような発言を行うことで、労働組合が会社を攻撃する材料を与えてしまうことになる。

 

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