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  • 団交申入れにいかに応じるか③

第5回 平成21年8月3日 「団交申入れにいかに応じるか③」

1)団体交渉には社長を出さなければならないのか?

労働組合は社長や代表者が団体交渉に出席するよう求めることがあるが、社長や代表者が団体交渉に出席する必要はない。社長や代表者が団体交渉に出席せず、人事課長や総務課長が団体交渉に出席してもよい。

むしろ、会社は社長や代表者を出席させない方がよいこともある。社長や代表者が出席すると、やはり会社に対する思い入れが強く、不規則発言、不当労働行為発言をすることもある。また、一部の労働組合も社長を集中攻撃して、社長を煽り、社長の失言を誘おうとすることがある。

もっとも、社長や代表者が出席しない代わりに、社長や代表者と同じくらい労働条件などについて決定できる権限を有する人が団体交渉に出席しなければならない。

社長に聞かないと全くわからない、団体交渉で答えることは出来ないと答えることは許されない(突然労働組合の要求を聞いた場合は、今聞いたばかりなので、社内に持ち帰って検討させていただくということはかまわない)。
そのような交渉は、不誠実団体交渉となり、不当労働行為となるおそれがある。また、社内に複数の労働組合がある場合は、他の労働組合の団体交渉の出席者との均衡も図らなければならない。 

2)労働組合員全員が誰であるかわかるまで団体交渉を行わない

労働組合結成直後は、誰が労働組合員なのか不明である場合がある。

労働組合全員が誰であるかわからなくとも、まずは団体交渉に応じるべきである。

例えば、会社が、誰が労働組合に加入したのかどうしても気になるので、労働組合に対し、組合員名簿を提出しなさいということがある。会社によっては、どの従業員が労働組合に加入したかわかるまで団体交渉には応じないということもある。労働組合は、必ずしも労働組合員が誰であるかを明らかにする義務を負わない。

労働組合全員が誰であるかわかるまで団体交渉を行わないと、団体交渉拒否として不当労働行為となるおそれが強いため、労働組合全員が誰であるかわからなくとも、まずは団体交渉に応じるべきである。


なお、一般的に、使用者が個々の労働者が組合員であるかどうかを知ろうとしたというだけで直ちに支配介入にあたるものではない(いわゆる36協定の締結資格を確認するためになされた記名式の用紙による組合加入の有無の調査が不当労働行為ではないとされた事例 最高裁平成7年9月8日判例時報1546号)。

労働組合員が誰であるかは、当初は不明であっても、団体交渉の出席者などから時間が経つと共にわかることが多いため、労働組合結成当初はあまり神経質になるべきではない。

3)団体交渉開催時に労働組合が用意してきた議事録(覚書)にサインをしてよいか

どのような文書であっても、今もらったばかりでよく検討できていないので、社内に持ち帰ると言って、団体交渉の場ではサインしないようにした方がよい。

労働組合によっては、団体交渉終了後に、議事録(覚書)と称した書類に会社出席者のサインを求めることがある。会社担当者が、議事録(覚書)だからまあいいかと思ってサインしてしまうことがある。しかし、議事録でも覚書でも文書の名称は何であれ、労使双方の代表者が、労働条件その他の労働者の待遇に関して、同一の文書において署名若しくは記名押印すれば労働協約としての効力を有してしまう。

 

労働協約とは労働組合と会社との約束事であり、その文書に記載されている事項を会社は守らなければならなくなる。団体交渉終了後で頭に血が上っていたり、組合の圧力に押されていた場合は、通常であれば同意しない文書にサインしてしまうものである。また、労働組合は、自分に有利なように文書を用意していることが多いので、気をつけてサインしないと会社に不利益を与えてしまう。

したがって、まずはどのような文書であっても、今もらったばかりでよく検討できていないので、社内に持ち帰ると言って、団体交渉の場ではサインしないようにした方がよい。合意できる内容であるかどうかはあらためて冷静に弁護士や社会保険労務士などの専門家と相談しながら検討し、その内容でよいのであれば合意し、その内容に修正・削除を加える必要があるのであれば、あらためて対案を労働組合に提出すればよい。

労働組合が団体交渉において作成する議事録の例は以下のとおりである。下記の「1」は、労働契約法、労働基準法以上の制約を使用者に課するものである。このような議事録に使用者がサインした場合は、今後の労務管理に多大な支障を来す。下記の「2」は一見すると何ら問題ないように思えるが、「前向きに検討する」の意義は読む人間によって異なり、トラブルを招く危険が高い。

労働組合側からすれば、「前向きに検討する」とは、会社が労働組合の要求に譲歩することを約束したと解釈することになる。このように第1回団体交渉のその場で労働組合が提出した議事録や覚書にサインすることは後々問題になることが多く、注意が必要である。

第1回 団体交渉議事録
平成●年●月●日 

第1回団体交渉出席者 
会社側● ●
労働組合側 ● ●  

下記のとおり決定事項を確認致します。

1 労働条件の変更、配置転換、解雇などについては労働組合の同意がなければ行わない。
2 会社は賃上げについては前向きに検討する。


                                                 以上
                                          平成●年●月●日
                                           株式会社 ●
                                       代表取締役社長 ●
                                             
                                             ●労働組合
                                          執行委員長 ●

 

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