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第2回 平成21年7月13日 「労働組合・労使関係の基礎知識②」

1)支配介入

労働組合法第7条3号は使用者の支配介入行為を禁止している。

・支配介入行為について
支配介入行為は多種多様な形態がある。労働組合結成の妨害、労働組合を敵視する使用者の発言、労働組合から脱退するよう勧めることなどは支配介入行為にあたる。

また、労働組合が使用者が管理する施設を利用して組合活動を行おうとして、使用者がこれを拒んだ場合、それが支配介入行為にあたるかが問題となる。労働組合が、使用者の許可なく、使用者の施設を使用してよいかについて、最高裁判例(昭和54年10月30日国労札幌運転区事件)は、以下のとおり判断した。

「労働組合又はその組合員であるからといって、使用者の許諾なしに右物的施設を利用する権限をもっているということはできない」「利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用しうる権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない、というべきである。」

要するに、最高裁は、労働組合は原則として使用者の許可なく使用者が管理する施設を利用することは出来ないと判断した。
ただし、社内にある他の労働組合には掲示板を貸していた場合は、組合間差別となり支配介入行為となるので注意しなければならない。


・ 経費援助について
労働組合法第7条3号は、使用者の労働組合に対する経費援助を禁止している。
ただし、労働組合法第7条3号但書は、「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すこと」、「厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附」、「最小限の広さの事務所の供与」を除くとしている。

現実的には労働組合は使用者に対し、様々な便宜供与を求め、使用者がそれに応じるか否かが問題になるのであって、使用者が労働組合に対して経費援助を行ったことが不当労働行為にあたるかどうかが問題になることはほとんどない。

むしろ、労働組合結成時に使用者が労働組合の求める便宜供与(掲示板の貸与、組合事務所の貸与など)を拒否することが支配介入行為にあたるかどうかが問題となることが多い。労働組合法第7条3号をみても明らかなとおり、使用者が労働組合に対し便宜供与を行わなければならない義務を定めているわけではないので、使用者が労働組合の便宜供与を断ったとしても、それ自体は原則として不当労働行為にはあたらない。

ただし、合理的な理由なくこれまで使用者が行っていた便宜供与を一方的に中止したり、複数組合が併存する場合に、一方組合にのみ便宜供与を行うことは支配介入行為となりうるので注意するべきである。

2)不当労働行為の救済制度

使用者が不当労働行為を行った(もしくは労働組合または労働者が使用者が不当労働行為を行ったと考えた)場合、労働組合または労働者は、各都道府県の労働委員会に対し、不当労働行為救済申立を行う。もっとも、使用者が労働組合員に対する解雇など不利益取扱の不当労働行為を行った場合は地位確認・賃金支払い請求訴訟を裁判所に起こすこともある。

・都道府県労働委員会
各都道府県の労働委員会は、使用者委員、労働者側委員、公益委員によって構成される。

各都道府県の労働委員会は、不当労働行為救済申立を受けた後、使用者に対し不当労働行為救済申立書の写しを送付し、使用者はそれに対する答弁書及びその理由を疎明するための証拠を提出しなければならない。

使用者は、申立書の写しが送付された日から原則として10日以内に答弁書を提出しなければならない。この期間が非常に短く、答弁書の作成に被申立人である使用者は苦労することがある。使用者は、この段階で弁護士を代理人として申請することが多い。

各都道府県の労働委員会は、遅滞なく調査を行い、必要があると認めた場合は審問を行う。
労使双方は、双方の主張を準備書面などにまとめ、その主張を裏付ける証拠を提出する。調査期日において、労使双方は、労働委員会などから事情聴取を受け、労働委員会に対し、これまでの経緯、和解の可能性などについて説明する。

裁判所の場合は、争点整理手続を行い、当事者の主張を整理して争点をしぼり、証人尋問を集中して行う。裁判所は、当事者が申し出た証人申請を認めないことも多い。労働委員会は、調査手続は短期間で終了させ、審問手続に時間を掛け、裁判所の手続に比べると労使双方が申し出た証人申請を尊重し、複数の期日にわたり証人尋問を行う。審問手続が終了した場合、通常、労使双方審問結果をふまえて最終準備書面を作成して労働委員会に提出する。

労働委員会がいつ命令を出すのかは事前には分からない。裁判所は判決期日を指定するが、労働委員会は命令の交付日を前もって言わない。そのため、ある日突然労働委員会から命令を交付するとの連絡が来る。


・中央労働委員会
都道府県労働委員会の命令に不服な使用者または労働者・労働組合は、原則として命令書の交付のときから15日以内に、中央労働委員会に再審査を申し立てることができる。中央労働委員会での手続は省略する。


・行政訴訟
使用者、労働者・労働組合は都道府県労働委員会の命令、中央労働委員会の命令に不服である場合、命令の取消の訴えを地方裁判所に提起することが出来る。労働委員会の命令も行政行為の一種であるからである。この地方裁判所の判決に不服である場合は、高等裁判所、最高裁へと上訴することが出来る。労働組合と会社の労使紛争が長期化する理由の一つは、地方労働委員会→中央労働委員会→地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所と事実上の5審制となっていることが挙げられる。


・労働委員会の命令に従わないとどうなるか
行政訴訟において救済命令の全部または一部が確定したにもかかわらず使用者が、それに違反した場合、その行為をしたものは1年以下の禁錮もしくは100万円以下の罰金を科され、あるいは両者を併科される。使用者が行政訴訟を起こさないで命令が確定し、それに従わない場合は、50万円以下の科料(ただし、作為命令の時は命令日の翌日から起算して5日を超える不履行の日数1日につき10万円)の過料に処せられる。つまり、確定した命令を無視した場合は、1日あたり最高10万円の科料を支払わなければならない。

 

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