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第1回 平成21年7月6日 「労働組合・労使関係の基礎知識①」

1)増加する個別労使紛争と最近傾向

労働組合全体の組織率は年々減少の一途をたどり、大規模な労働争議はほとんど起きなくなった。

一方で、従業員が個別労使紛争(解雇、残業代など)で労働組合(合同労組)に駆け込み、労使トラブルに発展することはむしろ増えているように思われる。法律には書いてあっても、判例があっても、特に中小企業においては従業員に知識がないために、これまでは残業代、解雇問題、年次有給休暇の取得などを問題にすることは多くなかった。

まして、労働組合に加入したり、労基署に駆け込んだりすることは少なかったように思われる。ところが、インターネットの発達により情報を容易に取得することができるようになったこと、日本人の権利意識が高まったことから、従業員が突然労働組合に加入したり、労基署に駆け込むケースが年々増えてきていると感じる。従業員が労働組合に加入し、労使紛争に発展した経験をお持ちの企業担当者の方も多数おられると思う。

ところが、労働法や労働組合法についての学術書はあるが、使用者側にたって、具体的にどのような場合に何をしたらよいのか記載した本や記事はほとんどなく、使用者が、よくわからないまま、もしくは誤った知識を持ったまま労働組合と団体交渉などを重ねているケースが多く見受けられる。

そのため、本来合意するべきではない事項について合意していたり、譲るべきではない事項について譲っていたり、渡す必要のない資料を渡していたりすることがある。

本連載では、あまり学術的なことは述べずに、具体的にどのような場合に何をどうしたらよいのかをお伝えする予定である。 

 

 

2)労働組合・労使関係の基礎知識

①不当労働行為

労働組合法第7条は、1号で労働組合結成・加入、労働組合活動を理由とする不利益取扱と黄犬契約、2号で団体交渉拒否を、3号で支配介入と経費援助を、4号で労働委員会への申立などを理由とする不利益取扱を禁止している。以下説明する。


(1) 不利益取扱


労働組合法第7条1号は、労働組合結成・加入、労働組合活動を理由とする不利益取扱を禁止している。
具体的には

①労働者が労働組合活動などを行ったこと②そのことの故をもって、③労働者に対する解雇その他の不利益な取扱がなされたことの3つの要件が成立要件となる。

しかし、実際にいかなる場合が、労働組合法が禁止する不利益取扱となるかは難しい問題である。当然のことながら、労働組合員に対する能力や実績などを理由にした解雇、配転等は不当労働行為にならない。したがって、上記②のそのことの故をもってとの要件が労働委員会や訴訟などでは激しく争われる。使用者の言動、他の同種事例との均衡、当該行為の必要性の有無、程度、従業員の被る不利益、利益、労働組合活動に与える影響などを考慮して判断されることとなる。


(2) 団体交渉拒否


労働組合法第7条2号は、使用者の団体交渉拒否を禁止している。
具体的には

①使用者が、②労働者の代表による団交申しいれを、③正当な理由なしに、④拒むことが成立要件である。

一見すると、いかなる場合が団体交渉拒否に当たるか否かは明白であるようにみえるが、実務上はそうではない場合が多い。

団体交渉拒否は、まったく団体交渉のテーブルにつかない場合と、団体交渉のテーブルにはついたものの誠実に団体交渉をしない場合に分けられる(不誠実団体交渉)。労働組合が不誠実団体交渉であると主張するのは、労働組合法上は団体交渉拒否にあたると主張することと同義である。


・団体交渉のテーブルにつかない場合
まったく団体交渉のテーブルにつかない場合でも、単に使用者が団体交渉を行うのを嫌がって全く団体交渉を行わないという事例は稀である。使用者の担当者が多忙で結果として団体交渉開催時期が遅れてしまった場合、労働組合が遠方地に団体交渉開催場所を設定して、使用者が団体交渉開催の都合を合わせられなかった場合、使用者と労働組合の主張の隔たりが大きく、何度も団体交渉を行ったが、使用者が団体交渉を打ち切って、その後団体交渉を開催しなかった場合などについて、労働組合が団体交渉拒否であると主張している場合が多い。


・不誠実団体交渉
また、いわゆる上記で説明した不誠実団体交渉であるが、正確な定義を知っておく必要がある。

使用者は、労働組合の要求や主張に対して、回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどして、また結論において労働組合の要求に譲歩することが出来ないとしても、その論拠を示して反論するなどの努力をすべき義務があるとされている(カール・ツァイス事件、東京地判平元・9・22判例時報1327号)。

使用者が労働組合の要求や主張に対し譲歩しないと、労働組合が不誠実だなどということがあるが、上記のとおり使用者が労働組合の要求や主張に対し譲歩しないことは不誠実団体交渉ではない。日本の労働組合法は使用者に対し、労働組合の主張や要求に対し譲歩したり、合意することを要求するものではなく、使用者の回答や主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどすることを要求しているにとどまる。

また、団体交渉において合意事項の労働協約化を拒否すること、団体交渉を経ないで労働条件を一方的に変更することも不誠実団体交渉にあたると解されている。


(3) 支配介入


労働組合法第7条3号は使用者の支配介入行為を禁止している。

支配介入は、「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること」および「労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること」を指す。使用者が労働組合に経費援助を行うことも支配介入行為に該当する。

支配介入行為は多種多様な形態があるが、支配介入の諸形態、経費援助については次号で述べることとする。

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