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解雇前の配転の必要性(2007年8月6日掲載)

 佐藤物流は、近年売上高の落ち込みを回復するために、営業部長を雇うことにしました。営業部長の募集に、数名の応募がありました。その中に高橋さんという方がいました。高橋さんは、採用時の面接で、「私は、過去数十年にわたり営業職の経験があり、佐藤物流の売上をあげる自信がある」と述べました。佐藤物流の佐藤社長は、高橋さんに期待し、高橋さんを営業部長として雇うことにしました。ところが、高橋さんは、営業部長として全く成果をあげることが出来ません。また、高橋さんは、協調性を欠き、部下の従業員を些細なことで怒鳴りつけたり、外注業者に対し、高圧的な態度で臨むようになりました。高橋さんは、営業以外の総務であれば自分は仕事が出来ると言い出すようになりました。この場合は、佐藤物流はどう対応したらいいのでしょうか?

 職種や地位を特定しないで従業員を採用した場合、能力がないと解雇する前に、他の業務に配転させるか否か検討する必要があります。他の業務に配転させるか否か検討せずに解雇をすると、裁判所は、なかなか解雇を有効であるとは認めません。この前も述べたとおり、裁判所は、会社が職種や地位を特定しないで採用した以上、仕事が出来るようになるように会社が配転、教育をするべきであると考えています。しかし、職種や地位を特定して従業員を採用した場合、解雇をする上で、必ず配転しなければならないわけではありません。したがって、佐藤物流は、高橋さんが営業以外の総務を希望しても、高橋さんを総務に配転する必要はありません。

 高橋さんが協調性を欠く点ですが、結論から言えば、協調性を欠き業務を遂行する上で重大な支障が生じれば、解雇をすることも可能です。ただし、協調性を欠くという事実を裁判で立証するのは容易なことではありません。裁判所に、協調性を欠く人物であるということを認めてもらうためには、根拠となる具体的事実を立証しなければなりません。具体例で言うと、部下の従業員をなじるような言動があれば、いつ、どこで、誰に、何を言ったのかをメモにとり残し、後日証拠として提出できるようにしておかなければなりません。

 結論を言うと、冒頭の事例で佐藤物流は高橋さんを解雇できる可能性は高いのですが、裁判になる手間や弁護士費用を考えると、佐藤社長が高橋さんに退職勧奨をして、会社を辞めてもらうようにした方がよいと思われます。

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