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未払い残業をなくすには? 

kishida002.png   残業対策には2種類あります。労働時間そのものの削減と、残業代の抑制です。

労働時間そのものの削減

①残業を許可制にする

使用者が従業員に対し、残業するように命じなければ、従業員は残業をする必要がないし、使用者も残業代を支払う必要がありません。使用者は残業を許可制にして、使用者の許可がなければ、残業が出来ないようにするのです。
具体的には、以下の通りです。
 1)所定の用紙を用意して、職員が、残業が必要であると考えた場合、この用紙に記入して直属の上司に申請させます。
 2)残業は、上司の許可がなければできないこととします。
 3)残業後、時間外勤務後、時間外勤務時間数を記入したカードを上司に提出し、本当に必要な残業であったのか上司が判断し、承認します。
大事なことは、上記の申請なしの残業を黙認しないことです。これを黙認してしまえば、労基署などは、黙示の命令により残業をさせていたと認定するからです。また、従業員本人に時間外労働の申告の自由があることを必ず周知してください。
以上の手続きをきちんと運用すれば、本当に必要な残業だけを従業員が行うようになり、それはすなわち労働時間そのものの抑制につながります。かなり効果があります。
具体的な方法については、専門家に相談してください。
 

②ノー残業デーをもうける

すでにかなり多くの企業が導入しているかもしれませんが、1週間のうち1日をノー残業デーとして、一切残業を認めない日を作ることも有効です。その場合、会社や事業所自体を、鍵をかけて閉めてしまいましょう。労働時間の抑制に効果があります。
 

③がんばるタイムをもうける

これもかなり多くの企業が導入しているかもしれません。「がんばるタイム」を設け、一定時間は、私語や電話、不要なオフィス内の歩き回りは一切禁止。取引先にも理解を求め、その時間帯の来客や電話などはなるべく遠慮してもらうなどして、この時間帯はとことん個々の業務に集中させます。
 

④タイムカード、ICカードは必ずしも必要ではない

労基署は、タイムカード、ICカードの使用を勧めますが、必ずしもそれに従う必要はありません(厚生労働省や労基署もタイムカードによる労働時間管理をしているわけではないそうです)。
上記のような運用をして、きちんと使用者が適正に労働時間を管理することが出来ればよいのです。
 

 

残業代の抑制

① 事業場外のみなし労働時間制

営業担当者などが外回りをしている時間などは、使用者の直接の指揮監督下にはなく、具体的な業務内容や遂行方法は各従業員の自由に任されています。また、その間において、何時に食事をしようが、何時に休憩しようが職務を誠実に遂行する限り自由です。
このように事業場外において労働するいわゆる外勤者については、一定の要件の下で労働基準法は使用者の労働時間把握義務を免除し、所定労働時間働いたこととみなすとしています。この場合は、残業代は不要です(一定の例外があります)。
この制度を定めるには、就業規則に規定を定める必要がありますし、事業場外のみなし労働時間制を適用していいのか、慎重に検討する必要がありますが、適用することが出来れば、残業代の抑制にかなりの効果を発揮します。
 

② 裁量労働制の導入

裁量労働制とは、一定の職種については、仕事のやり方や進め方を従業員自らがきめることができるため、労使協議を経て一定の時間働いたとみなすと定めた制度です。具体的な職種としては、デザイナー、研究開発者、情報処理システムの分析または設計の業務、記事の取材または編集の業務、経営企画担当者(以下の職種については一定の業務に限られます)、財務経理担当者、人事労務担当者、広報担当者、営業企画担当者などがあげられます。
ただし、この制度は、職種が限定され、かつ手続きも複雑なので、この制度を導入するのであれば、専門家と相談して手続きを進める必要がありますが、もし導入することができれば、残業代の抑制にかなりの効果があります。該当職種の従業員があれば、是非検討してみてください。
 

③ 振替休日の利用

どうしても従業員に就業規則で定める休日に働いて貰う必要が出てきたとします。その場合は、休日の振替措置(振替休日)をとってください。振替休日を行えば、休日の残業代を支払う必要はありません。ただし、以下の要件をみたす必要があります。
ⅰ 就業規則等で休日の振替措置をとる旨を定める
ⅱ 振替自由や手続きを定める
ⅲ 振り替えるべき日を特定する
ⅳ 法定休日の振替日は4週間以内の日とする
ⅴ 少なくとも前日の勤務終了時刻以前に特定し周知すること
 

④ 変形労働時間制

労働時間は1日8時間、週40時間以下と決められていて、これを超える時間を労働させる場合は、時間外労働となるのが原則です。時間外労働になれば当然時間外手当の問題が生じてきます。
業態によっては、上記法定労働時間が業務にそぐわない場合があります。例えば、1ヶ月のうち前半は忙しいが後半は仕事が少ないとか、あるいは1年のうち夏は忙しいが冬は暇であるとか様々なサイクルがあると思います。また、24時間をカバーする交替勤務制のところは、1日の勤務時間が8時間を超えることは必要不可欠な場合もあります。そういう時は変形労働時間制を採用する事で法定労働時間を超えて就業させることができます。1週間の労働時間を40時間以内にすればよいのであって、1日10時間働いてもらっても、他の日の労働時間が少なければ、この範囲では残業にはなりません。
残業代抑制には効果的な制度です。ただし、労使協定を結部必要がある必要があるので専門家に相談してください。
 

⑤ 残業代を月額賃金の中に含ませること

一定の残業代をあらかじめ給与に含めておくことも残業代抑制に有効です。たとえば、月20時間の時間外労働手当分を月給に含むとの定め(合意)も残業代抑制には有効です。ポイントは、かならず、何時間分の時間外労働手当分を含むのかを明記することです。
ただし、現在の従業員の給与水準をすえおいたまま、月20時間の時間外労働手当分を含むと一方的に規定することは、実質的に賃金の削減になりますので、制度を変えるには、労働組合との労働協約か従業員との個別同意が必要です。一方、賃金水準を一定程度上げた上で、一定時間の時間外労働手当を含むと定めることは必ずしも賃金の削減とはなりません。残業をしなくとも、これまで以上の賃金をもらえることになるからです。  
いずれにせよ、これまでの制度を変更するのであれば、慎重な検討が必要です。
制度を変更した以降に入社した従業員については、そのまま適用することになります(就業規則が雇用契約の内容になりますので)。

 

 

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