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過去の残業代を請求する組合との団体交渉事例

ご相談内容

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A社は、従業員50名の運送会社です。

A社の扱う業務量が減ったことから、歩合給(運送手当)が減り、そのことに不満を持った従業員B、C2名がD労働組合A社支部を結成しました。
A社は、基本給、運送手当、無事故手当、洗車手当、家族手当を支払ってきましたが、各種手当をいわゆる残業代として支払う旨の就業規則や契約書はありません。
団体交渉では、労働組合が、早速過去二年分の未払い残業代を支払えと要求してきました。

A社は黒字ではあるものの、借入金が売上に比べて多く、資金繰りに余裕がありません。B、C2名に残業代を支払ってしまえば、ほかの従業員にも残業代を支払わざるを得ません。A社経営者は、対応に苦慮し、弊事務所に相談に訪れました。


どのように解決したか?

残業代として特定の手当を支払っている旨就業規則や契約書に記載がない限り、原則として特定の手当を残業代として支払っていると認定される可能性は低いです。だからといって、在籍している組合員に過去2年分の残業代を支払えば、ほかの非組合員も自分にも残業代を支払うべきであると要求してくる可能性があります。その場合は、会社が倒産する可能性があります。

まず、過去の未払い残業代が気になるところですが、ここは発想を変えて将来の未払い残業代をいかに無くすか、対策が必要となります。
弊事務所は、A社の顧問社労士と協力し、A社の社員の総労働時間をもとに特定の手当を一定時間の残業代として支払う賃金制度を作成しました。この方法によりますと、これまでの賃金原資の中から、残業代を支払うことになるため、これまでよりも、計算上の時給が下がってしまいます。
このように労働条件が下がる場合は、労働組合か社員の同意が原則として必要です。そのため、社員の同意が得られるように、手取り賃金を増やすことも決めました。この新賃金制度を労働組合または各社員に提案して同意を得られるように努力することにしました。

過去の未払い残業代についてはどうしたらよいのでしょうか?B、C組合員についてはD労働組合と団体交渉を行い、その中で解決を図ることになりますが、休憩時間や荷積み時間などタイムカードやタコチャート紙などではわからない時間については会社の主張を徹底して行なうことにしました。非組合員については、過去の未払い残業代については支払わないことにしました。本来であれば支払ったほうがよいのでしょうが、A社にはその余力はありません。

まず、A社の全社員(B、C組合員を含む)に説明会を開き、新賃金制度を導入することを通知します。説明会では、これまでの賃金制度に問題があったこと、今のままでは経営に支障を来すこと、今後は労働時間を管理して実動労時間に応じて残業代を支払うが、一部手当を残業代として支払うことを説明しました(説明書面も配りました)。質疑応答をした後、個別面談をします。個別面談の中で、書面の同意を得ます。

書面の同意がなければ、後に裁判所で争われた場合、同意したとは認められる可能性は極めて低くなります。
ほとんどの社員は、会社に協力的でした。一部サインをためらう社員もいましたが、B、C組合員以外は全員同意書にサインしました。B、C組合員については、A社が団体交渉で協議するか、個別面談を行なうかどちらでもよいので選択して欲しいと述べたところ、B、C組合員は団体交渉で協議することを選びました。

団体交渉では、会社と組合の主張は並行線をたどり続けました。数回団体交渉を開催しました。主張は並行線をたどり、一部労働組合の主張を受け入れましたが、合意に至ることはできず、新制度を実施しました。
その結果、B、C組合員は未払い残業代を請求し、かつ新賃金制度は無効であるため、旧賃金制度にもとづく賃金を支払えとの訴訟を起こしました。
訴訟の中では、様々な争点が問題となりましたが、A社としては未払い残業代を含めて金銭解決で退職してもらうことを提案し、和解が成立しました。

その結果、D労働組合A社支部も消滅しました。B、C組合員以外からその後未払い残業代請求もなく、平穏な労使関係を築くことができています。


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