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  • 2008年10月27日

解散時の整理解雇④(平成20年10月27日号掲載)

物流運送は、経営不振に陥り多額の負債を抱えており事業継続が不可能となり、事業を廃止し解散することとしました。

しかし、物流運送の一部門である大型トレーラー部門は何とか利益をあげており、独立採算して事業を継続できそうです。そこで、物流運送は、別会社に大型トレーラー部門の営業を譲渡することとしました。別会社である譲受会社は賃金等を切り下げた労働条件であれば当社の従業員の一部を採用することを了解したため、物流運送は、希望者を譲受会社に就職斡旋することとしました。
 
ところが、物流運送の従業員で譲受会社に就職を希望したが、賃金等を切り下げた労働条件では合意できないとした従業員がおり、当該従業員は譲受会社に就職することができませんでした。やむなく物流運送は、事業廃止に伴い全従業員を解雇しました。当該従業員は、物流運送に対しては解雇無効の訴え、譲受会社に対しては、雇用契約は承継されているとして訴えを起こしました。この訴えは認められるのでしょうか?
 
かりに当該従業員が労働組合員であった場合はどうでしょうか?

 
それでは、これまでの説明をもとに本件事案について回答したいと思います。

物流運送が解散し、事業廃止に伴い全従業員を解雇することはたとえそれが解雇規制の回避、反労働組合的な動機からなされたものであっても、解散自体も解散に伴う解雇も有効であるとされています。

ところが、一部の従業員は賃金等を切り下げた労働条件で譲受会社(新会社)に雇用されることを拒否しております。譲受会社は、この従業員を雇わなければならないのでしょうか。

原則として譲受会社は、譲受会社が提示する労働条件に同意しない従業員を雇う必要はありません。営業譲渡を受けたからといって、従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継する義務はないからです。

もっとも、物流運送と譲受会社が実質的に同一の場合、譲受会社は従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継しなければならなくなります。

すなわち、物流運送と譲受会社が実質的に同一の場合(株主も同じ、従業員も同じ、業務内容も同じ、会社所在地も同じなど)は、厳しい整理解雇の4要素を吟味して、解雇の有効無効が決定されることになります。その上で解雇が無効であれば、譲受会社は従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継しなければならなくなります。

では、物流運送と譲受会社が全くの別会社で、譲受会社が特定の労働組合のみ採用しなかった場合はどうなるのでしょうか?
新会社への不採用は不当労働行為とはならないのが原則ですが(JR東日本事件最高裁平成15年12月22日判決)、あからさまな不採用は、全ての従業員の雇用を承継する合意があったと認定するなどして使用者が敗訴することもあります(東京高裁平成14年2月27日判決)。

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