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  • 2008年10月20日

解散時の整理解雇③(平成20年10月20日号掲載)

物流運送は、経営不振に陥り多額の負債を抱えており事業継続が不可能となり、事業を廃止し解散することとしました。

しかし、物流運送の一部門である大型トレーラー部門は何とか利益をあげており、独立採算して事業を継続できそうです。そこで、物流運送は、別会社に大型トレーラー部門の営業を譲渡することとしました。別会社である譲受会社は賃金等を切り下げた労働条件であれば当社の従業員の一部を採用することを了解したため、物流運送は、希望者を譲受会社に就職斡旋することとしました。
 
ところが、物流運送の従業員で譲受会社に就職を希望したが、賃金等を切り下げた労働条件では合意できないとした従業員がおり、当該従業員は譲受会社に就職することができませんでした。やむなく物流運送は、事業廃止に伴い全従業員を解雇しました。当該従業員は、物流運送に対しては解雇無効の訴え、譲受会社に対しては、雇用契約は承継されているとして訴えを起こしました。この訴えは認められるのでしょうか?
 
かりに当該従業員が労働組合員であった場合はどうでしょうか?

 
前回は、営業譲渡を行ったとしても雇用関係、雇用契約から生じる債権債務をそのまま引き継ぐとは限らず、雇用関係を引き継ぐかどうかは、営業の譲受会社との合意によって最終的には決まると述べました。

では、特定の労働組合員のみの雇用関係のみを引き継がず、他の非組合員の雇用関係を引き継ぐと、営業の譲受会社と合意し、特定の労働組合員のみ雇用を引き継がなかった場合はどうでしょうか?

労働組合法は、使用者は、労働組合員であることや正当な労働組合活動を行ったことを理由として不利益に取り扱ってはならないと定めていますので、特定の労働組合員のみの雇用を引き継がなかったことは許されるのでしょうか?

裁判所は、特定の労働組合員のみをあえて採用しなかったのであれば、このような合意は譲渡会社と譲受会社とか組合及びこれに属する職員を嫌悪した結果これを排除することを目的とするものであり、本件不採用は労働組合法に違反し、かつその点を除けば実質は全ての従業員の雇用関係を承継したに等しいので特定の労働組合員は譲受会社において従業員としての地位を有すると判断しています(青山会事件東京高判平成14年2月27日)。

要するに、特定の労働組合員のみを排除する場合は、実質は全ての従業員の雇用関係を引き継いだものと等しいので、特定の労働組合員も譲受会社において従業員の地位を有することになります。

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