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  • 2008年8月25日

整理解雇の有効性③(平成20年8月25日号掲載)

物流運送は、業績不振から、従業員を解雇しようと考えています。

物流運送には、従業員約100名おり、事業所はA事業所(従業員40名)、B事業所(従業員60名)の2つがあります。A事業所が行っている業務は赤字続きで、加えて燃料費の高騰もあり、思い切ってA事業所を閉鎖しようと考えています。

ところが、A事業所の一部の従業員(10名程度)は、会社がA事業所を閉鎖し、自分たちを解雇するのではないかと考え、解雇を阻止するために労働組合を結成しました。
物流運送の佐藤社長は、A事業所の従業員に対し、いくばくかの割増の退職金を支払って辞めてもらおうと思っていましたが、労働組合が結成されてしまったためどのように対応すればよいのかわからなくなりました。できれば、佐藤社長は、労働組合の組合員は解雇し、それ以外のA事業所の非組合員については割増の退職金を支払って辞めてもらおうと考えています。

そのうち、労働組合が物流運送に対し、今後のA事業所のあり方について団体交渉の申し入れを行ってきました。
物流運送はどのように対応したらよいでしょうか?


前回は、日本では整理解雇には厳しい規制が課され、紛争になり裁判所で負けた場合には、相応の代償を支払わなければならなくなると述べました。

整理解雇の有効性は、裁判例により、人員削減の必要性、解雇回避努力、被解雇者選定の妥当性、手続の妥当性の4要素を考慮して判断されます。

まず人員削減の必要性について述べたいと思います。
人員削減の必要性については、裁判例(東洋酸素事件(東京高判昭54.10.29・労判330.71)など)は、人員削減をしなければ倒産が必至であるという状況までは要求せず、高度の経営上の困難が存在すれば認めています。さらに、多くの裁判例は、企業が不採算部門を閉鎖しまた業務運営システムの変更に伴い生ずる余剰人員を整理する場合、人員削減の必要性を認めている。
本件では、A事業所は赤字ですが、会社全体は倒産必至というところまでには至っていません。このような場合も、人員削減の必要性をみたすのでしょうか?結論はイエスです。

鐘淵化学工業事件(仙台地決平14.8.26・労判837.51)は、「企業全体として黒字であったとしても、事業部門別に見ると不採算部門が生じている場合には、経営の合理化を進めるべく赤字部門について・・・営業所閉鎖によって剰員が生ずる結果となるのは避けられないのであるから、・・人員削減の必要性は認められる」と判示し、不採算部門の閉鎖に伴う人員削減の必要性を認めています。

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