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  • 2008年6月16日

事業場外みなし労働時間制(6月16日掲載分)

物流運送は、以前、未払い残業代問題で労基署に調査に入られ、多額の残業代を支払いました。

物流運送は、二度と未払い残業代問題を起こしたくないと考えています。

一方で、ドライバーの労働時間を減らすことは売上減につながるため、なかなか労働時間を減らすこともできません。物流運送社長の佐藤さんが、同業他社の社長田中さんに相談したところ、次のとおり、アドバイスを受けました。

「事業場外みなし労働時間制を採用すれば、残業代は一切払う必要はなくなる。君の会社も早く導入したらいいのではないか」

 
物流運送社長の佐藤さんは、同業他社の社長田中さんのアドバイス通り、事業場外みなし労働時間制を採用した方がよいのでしょうか?

事業場外みなし労働時間制というのは、事業場(会社)外で働いている従業員がいる場合に、その労働時間を算定しがたいときに、一定時間労働したとみなす制度です(労基法第38条の2)。

確かに事業場外みなし労働時間制を導入しますと、いくら働いていても一定時間労働したとみなされ、通常一定時間労働したとみなされるのは、所定労働時間の8時間ですので、いわゆる残業代が一切発生しなくなります。一見、物流運送も導入した方がよいように思えます。

しかしながら、事業場外みなし労働時間制を導入するためには、以下の要件をみたす必要があります。
(1) 労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事したこと
(2) 労働時間を算定しがたいこと

(1)の要件については、物流企業のドライバーであれば、会社の外で車を運転して働いているわけですから、みたすことになります。
問題は(2)です。
物流企業のドライバーは、基本的に途中で休憩を取ったり、食事をする時間があり、特に車を止めて荷主先で待っている場合などもありますので、労働時間を把握しがたい部分があります。そうすると、物流企業についても事業場外みなし労働時間制を導入できそうです。

しかしながら、厚生労働省ならびに労働局、労基署は、この事業場外みなし労働時間制の適用をきわめて狭く解釈しようとしております。平成元年3月1日の通達(基発第93号)は「自動車運転者の業務は事業場外において行われるものではあるが、通常は走行キロ数、運転日報等からも労働時間を算定しうるものであり、事業場外みなし労働時間制の「労働時間を算定しがたいとき」という要件には該当しない」と述べており、物流企業のドライバーについては事業場外みなし労働時間制を適用できないのです。したがって、設問では、物流運送は事業場外みなし労働時間制を導入しない方がよいということになります。

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