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  • 2008年4月14日

待機時間は労働時間にあたるか②(4月14日掲載分)

物流運送会社は、現在ある問題で頭を悩ませています。

物流運送株式会社の搬送センターでは、積荷が到着してから、トラックに積み替え、それから目的地に向け出発するようにしています。物流運送株式会社では、積荷が到着し、運転車が積み替え作業に入ってから、労働を開始したとして、賃金を計算しています。これまでは、このようなやり方に異議をとなえる従業員はいませんでした。ところが、元従業員の佐藤さんが、労働基準監督署に駆け込み、残業代の請求をしてきました。佐藤さんの言い分は、「積荷が到着する前の待機時間も、積荷が来たらいつでも動かなければならない状態にあったのだから、労働時間にあたる」というものでした。

佐藤さんの言い分が通ってしまったら、その他の現在の従業員に対しても、積荷が到着するまでの待機時間を労働時間として扱わざるを得ず、物流運送株式会社の労務コストは10パーセント上昇してしまい、確実に経営を圧迫します。物流運送株式会社はどうしたらいいでしょうか?



前回、実労働に従事していない時間であっても、「手待ち」時間と「手空き」時間に分けられていて、労働からの解放が保障されていなければ「手待ち」時間、労働からの解放が保障されていれば「手空き」時間となり、「手待ち」時間は労働時間、「手空き」時間は休憩時間であると述べました。

 

そうすると、本件において佐藤さんが主張する待機時間が労働時間にあたるかどうかは、佐藤さんが労働からの解放を保障されているかどうかにかかってきます。

O運輸事件という最近の判例があります(大阪地裁平成18年6月15日)。

深夜運行の長距離トラックの運転手が割増賃金を求めた事案です。荷物待ち等のために費やされる時間が手待ち時間として労働時間となるかどうかが争われましたが、「配送先である目的地に到着し、荷下ろしの作業を終え、次の仕事の指示を待つ間は、かりに会社から突然の指示が来ても、これに原告らが自ら応諾するかしないかを判断することが許されていたから、待機とはいえず労働時間ではない」と裁判所は判断し、労働時間性を否定しました。

したがって、本件の事案でいくと、特定の時間まで仕事をしなくとも良いと明言をしたり、積荷が来ても仕事をするかしないかは従業員の自由でなければ、労働時間に当たってしまうことになります。

実務上は、積荷が来る時間を予め会社が指定して、それまでは自由にして良いと指示する形をとれば、労基署との話し合いでも労働時間性を否定することが可能です。


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