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  • 2008年3月17日

管理職に残業代を払う必要はあるか③(3月17日掲載分)


物流運送株式会社は現在ある問題に頭を悩ませています。物流運送A支店を任されていた佐藤元支店長が、退職後、労基署にかけこみ会社に残業代を請求したためです。

物流運送は、従来から支店長=管理職として残業代を支払ってきませんでした。同業他社でもそのように扱っているため、物流運送でもそのような取り扱いを永年してきました。

1. 佐藤元支店長は、自身もタイムカードを押して物流運送株式会社に勤怠の報告をあげていました。
2. 佐藤元支店長は、アルバイト、パートの採用権限はあるものの、正社員の採用権限はなく、正社員はすべて物流運送本社が採用してきました。
3. 佐藤元支店長は、物流運送の経営会議に参加したり、経営計画の策定に携わることはありませんでした。
4. 物流運送は、佐藤元支店長に役職手当として月5000円を支払ってきました。

このような場合、物流運送株式会社は、佐藤元支店長に対し残業代を支払わなければならないのでしょうか?
この設例の事案では、佐藤元支店長は、「監督もしくは管理の地位にある者」にあたるのでしょうか?


前回、上記「1」、「2」は物流運送にとって不利な事実、すなわち「監督もしくは管理の地位にある者」を否定する根拠となると述べました。

次に上記「3」の佐藤元支店長が物流運送の経営会議に参加したり、経営計画の策定に携わることがなかった点についてですが、株式会社ほるぷ事件(東京地裁平成9年8月1日判決)は、支店営業方針を決定する権限や、具体的な支店の販売計画などに関して独自に課長に対して指揮命令を行う権限をもっていたと認められないことから、原告が経営方針の決定に参画する立場になかったと認定していますので、上記「3」の事実も物流運送株式会社にとっては不利な点です。

上記「4」の物流運送が佐藤元支店長に役職手当として月5000円を支払っていた点についてですが、株式会社ほるぷ事件ほるぷ事件は、原告が過去に営業所長であったとの点について、営業所長になったときの資格給が5000円しか増加していなかったことから、原告が管理監督者であったかは疑問であると述べています。したがって、上記「4」の事実も物流運送株式会社にとっては不利な事実です。

したがって、前号から検討してきましたが、設問の事例では、佐藤元支店長の請求が認められる可能性が高くなります。支店長の肩書きを与えていれば、残業代を支払う必要はないと考えはリスクが高いと言えます。

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