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  • 2007年12月17日

同意書で紛争回避(12月17日掲載分)

物流運送は、荷主からの度重なる運送料減額要求と燃料値上げの影響を受けて、2期連続の赤字となってしまいました。銀行からも、来期も赤字であれば、融資は継続しないかもしれないと言われています。物流運送としては、何としても、来期は黒字にするしかありません。物流運送は、これまで考え得るコストカットは全て行ってきました。残るコストカットは、人件費しかありません。そのため、物流運送は、従業員の基本給を15パーセントカットしました。物流運送は、従業員に対し、賃金カットに同意する旨の書面をとりませんでした。その後、数ヶ月たち、物流運送従業員Aが、労働組合に加入し、「賃金カットは無効である。直ちに賃金カット分を返還せよ」と主張しました。物流運送は、「これまで、数ヶ月間、Aは何も異議を述べなかった。Aは同意していたのだから今更このようなことはいえない」と主張しました。物流運送従業員Aは同意したものとして、扱えるのでしょうか?

 
賃金カットをする場合、ほとんどの会社は同意書面をとりません。ほとんどの事例では、訴訟になることは少ないですし、そもそも賃金カットが無効になることがあるとの知識をもっていない会社がほとんどです。しかしながら、一定以上の賃金をカットした場合には、従業員にも生活がありますので、労働組合に加入したりするなどして、賃金カット撤回、カット分の返還を求めることがあります。それでは、上記の事例の場合、物流運送従業員Aは、賃金カットについて同意したものとして扱ってよいのでしょうか?

賃金カットの労働者の同意の認定については、判例上2つの流れがあるようです。第1の考えは、労働者がその自由な意思に基づきこれに同意し、かつこの同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することを要求するものです。

第2の考えは、第1の考えと異なり、ある期間異議を述べないこと等で黙示の同意を比較的容易に認定しようとするものです。

判例の詳細は、紙面の関係で省きますが、いずれの法的構成に立つにせよ、従業員から数ヶ月間異議が出ないことだけで、賃金カットに同意したとみなすことは難しいでしょう。
実務上は、給料明細を手渡す際に、同意書面にその場でサインしてもらうなどして、従業員が賃金カットに同意する旨の書面をとらざるを得ないと思います。書面をとれない場合は、法的なリスクが残ると考えてください。

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