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  • 2007年12月10日

解雇に有効性あるか?(12月10日掲載分)

物流運送は、荷主からの度重なる運送料減額要求と燃料値上げの影響を受けて、2期連続の赤字となってしまいました。銀行からも、来期も赤字であれば、融資は継続しないかもしれないと言われています。物流運送は、取引先の物流商事の支援を仰ぐことにしました。物流商事は、物流運送の商号と営業を物流商事に譲渡し、譲渡代金で物流運送は借金を返済することにしました。物流運送の従業員については、物流運送が全員を一度解雇したうえで、物流商事が物流運送従業員を物流運送より低い賃金で雇い入れることにしました。ところが、物流運送の従業員Aは、解雇そのものが無効であると言って、裁判所に提訴しようとしています。物流運送および物流商事の行為は無効なのでしょうか?

 
法的に有効であるかはともかく、物流業界のM&Aではよく用いられる手法であると思われます。特に救済を求める会社の従業員の給与水準が業界の水準より高い場合には、賃下げが経営支援の条件となっていることが多いと思います。

しかしながら、裁判所は、このような手法に対し厳しい姿勢をとっています。

外港タクシー事件(長崎地裁 平成13年7月24日判決)は、経営権(株式の譲渡)の移転に伴い一旦従業員を全員解雇し、労働条件を引き下げたうえ再雇用する措置は、解雇権の濫用であり、労働者は従来の賃金体系に基づく賃金請求権を有するとしています。
要するに、経営権を譲渡する場合でも、企業解散や倒産のように性質上従業員全員の解雇を必須とするものではない場合は、解雇回避の再建策を検討せずに、漫然と支援先企業の意向に従い解雇、再雇用を決定し、かつ引き下げられた労働条件を承諾した者のみを再雇用しており、労働条件の引き下げのみを目的とするものであって、「経営状態が苦境にあったことを考慮しても」解雇権の濫用であるとし、本件解雇を無効としています。

基本的に解雇、再雇用、労働条件の切り下げというスキームは認められません。あくまでも、合意をベースにして新会社に移籍させるべきです。つまり、使用者が、労働者に対し、新会社での労働条件を示し、合意退職を募り、これに応じた者を新会社で雇用し、合意退職に応じなかった者については、粘り強く説得を続け、それでも合意退職に応じなかった場合のみ解雇するべきであると思います。この場合も解雇の有効性が問題になりますが、全員解雇、再雇用、労働条件の切り下げよりは、法的にリスクは減ります。

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