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  • 2007年6月4日

過労運転の民事責任(2007年6月4日号掲載)

物流会社D社社長Eさんは、突然の弁護士からの内容証明に驚きました。
内容証明には、以下の内容が記載してありました。D社従業員Fさんが2年前に死亡したのは、会社がEに過労運転させたためであり、会社は、Eさんの遺族に対して、約6000万円を支払え、支払わなければ会社を提訴する可能性があるとのものでした。確かに、D社従業員Fさんは1年前にEさんの居眠り運転による交通事故(物損事故)により死亡しました。

会社は、Fさんの交通事故について労災申請をし、労働基準監督署はFさんの交通事故は労災であると認定し、Fさんの遺族に労災給付が支払われました。Eさんはやれるだけのことはしたつもりでした。Eさんは、「うちは、自動車保険に入っているから遺族に対する補償も保険から出るだろう」と考え、損害保険会社に相談したところ、損害保険会社は、D社の加入していた損害保険は、Fさんの遺族に対する補償を行えないものであると返答しました。結局、訴訟になり、裁判所は、D社がFさんの遺族に対し、約5000万円を支払うよう命じました。以上の事例は、実例をもとにしたものです。読者の皆様の身近に起こる可能性のある事案です。
前回、前々回と過労運転の刑事責任について、述べました。しかし、「過労運転」は刑事責任にとどまりません。遺族が会社に対し民事責任を追及することができるのです。
それでは、D社およびEさんはどうすればよかったのでしょうか?


前回も述べましたが、業務上の事情により、多少運転時間や拘束時間が長くなったとしても、それが長期間継続することなくかつ自宅で8時間以上の休息(トラック内での仮眠ではありません)を取れるように注意してください。
また、総合福祉団体定期保険に加入し、社内規定に死亡事故の場合の補償金規定を設け、万が一死亡事故が起きた場合は、保険金を原資にして遺族に補償金を支給するのも有効です。遺族との間でトラブルになったり、訴訟になるのを防ぐことが可能です。従前は、従業員が死亡し、会社に団体定期保険の保険金が支払われた場合でも、会社がその一部のみを従業員の遺族に支払い、残りの金額を会社が受け取っていたことから、会社が従業員の死亡を理由に保険金を受け取っているとして社会的な問題になりました。保険会社は、このような批判に対応して、企業を保険金受取人とする場合、遺族の受領額を明記し、保険金額も退職金規程や弔慰金規定等により遺族に支払うことが確認できる額までとし、手続き的にも被保険者である従業員への保険付保の周知徹底と個別同意の取得を確保する総合福祉団体定期保険を開発しました(原則として保険料は損金扱いになります)。未だ加入していないのであれば、一度加入を検討してみてはいかがでしょうか。

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